シリアが内戦状態になってから4年半。死者は、推定25万人。難民となったシリア人は1100万人(国民の半数近く)で、国外に逃れた人は450万人以上、国内で難民になっている人は650万人である。(BBC)
2015年は、ISISが大暴れし、国際社会の空爆も強化された。そのため100万人がヨーロッパへ逃れたが、シリア国内でも、昨年だけで120万人が新たに難民となった。
問題は、ヨーロッパへ逃れた難民のうち、54%(昨年1月の国連データ。後には70%というデータもある)が、テロリストにもなりうる屈強な独身男性だったということである。女性はわずか17%で、こども29%だった。
data.unhcr.org/mediterranean/country.php?id=83
パリで130人が犠牲となったテロ犯の中に、難民として入りこんだ者が関わっていたり、またドイツでは大晦日に多数の女性が各地で暴行される事件が発生した。同様の性犯罪被害は、ドイツ以外でも発生していることがわかってきている。
最近では、各国の住民が怒って、難民キャンプを襲ったり、難民が暴行を受けるなどの事件に発展して来ている。このため、ヨーロッパでは、ドイツも含め、スェーデンなども難民受け入れを制限する方針を打ち出している。
<極寒の冬でも海を渡る難民>
それでも、IOM(国際難民組織)によると、今年1月だけで、地中海を渡った難民は5万5568人、ボートが転覆し、地中海で溺死した難民は244人。土曜30日にも、40人の遺体がトルコの海岸に打ち上げられるという悲惨な状況が伝えられている。
www.bbc.com/news/world-europe-35450290
<行方不明の難民の子供たち1万人>
ロイターによると、トルコの衣類工場で働かされている幼い子供たちが発見されたが、トルコで違法に働かされている小さな子供たちは、推定25万から40万に上るとみられている。
www.rt.com/uk/330849-syrian-refugee-children-factories/
また、EU警察インテリジェンスによると、子供1万人が行方不明だという。どこかの家庭へ引き取られた可能性もあるが、多くが性的搾取でどこかへ売り飛ばされた可能性が懸念されている。
www.bbc.com/news/world-europe-35453589
<餓死するシリア国内難民>
国連によると、シリア国内では人道支援の手が届かない地域が15カ所あり、そこで40万人が餓死している。やっと国連の支援が届いた町マダヤでは、支援隊が到着してから16人が餓死。あらたに33人が餓死寸前だという。
www.bbc.com/news/world-middle-east-35449107
<国連の仲裁調停への挑戦>
国連は、この悪の根源である、シリアの内戦に終止符を打とうとして、何度も当事者を含む和平交渉を行って来た。しかし、そのどれもが失敗に終わっている。
しかし、このまま放置するわけにもいかない。今年1月末に、再度争っている両者を同席させての和平交渉が計画された。
アサド大統領の代表団がまずジュネーブに来る事に合意。反政府勢力の代表勢力は、いったんは会議出席を断ったものの、日曜、代表団をジュネーブに派遣した。
両者はそれぞれ、別に国連特使スタファン・デ・ミスチュラ氏との会談を行っていると伝えられているが、そのままその情報はない。両者の間には相当な溝があり、そのどちらも譲歩する気はまったくないため、何も動いていないのかもしれない。
そうした中、ダマスカス近郊の町でシーア派(ISISはスンニ派)のモスクを爆破した。少なくとも45人が死亡した。ISISが犯行声明を出した。
この問題に対して、人間ができることはだんだんなくなりつつあるようである・・・