南部では、イスラエル軍が、ハンユニスのハマス軍事力は、ほぼ壊滅したとの見方から、ラファ北部への軍事作戦を開始した。
エジプトとの国境の町ラファは、今も人道支援物資が入る入り口の町である。もともと人口27万5000人だったが、ガザ北部から逃げて来た人にハンユニス(戦争前人口43万人)からの避難者も加わって、ガザ人口の半数の120万人が集中する大密集地帯になっている。
アメリカや国連など国際社会が一斉に、ラファへの空爆は大惨事になると警告する中、イスラエルは、8日、地上軍が入る前の空からの攻撃を開始した。8日にハマス戦闘員がいそうな地点への空爆を行い、戦闘機による攻撃も行った。住宅への被害も出て、ガザ市民11人が死亡した。
イスラエルの攻撃が始まったことから、難民群衆がエジプト領内(シナイ半島)へ押し出されてくる可能性が高まっている。これに備え、エジプトが、国境に有刺鉄線を張り巡らす様子も伝えられている。
エジプトはもし、(イスラエルのラファへの攻撃のせいで)ガザから難民が流れ込んできた場合、イスラエルと40年になる和平交渉は終わらせると警告している。
なお、ラファ国境では、賄賂が横行しており、エジプトへ逃れたガザ住民見少なくない。エジプトの報道によれば、昨年11月以降(イスラエルとの戦争以降)、3万5000人がすでにエジプトへと逃れている。
内訳は、病人、国連機関職員、エジプトの国籍や他国との二重国籍を持つガザ住民だが、中には賄賂を払って、通過した者もいるという。現時点で、毎月1万5000人が通過しているとのことである。
ただ国連によると、これでも負傷してガザを出ての治療を必要とする人の0.8%が出国できているに過ぎないとのこと。