イスラエル軍ラファ攻撃・事故?45人死亡:ハマスからテルアビブにロケット弾8発 2024.5.28

in Rafah in the southern Gaza Strip, May 27, 2024. (credit: MOHAMMED SALEM/REUTERS)

イスラエル軍のラファ攻撃・事故?民間人含む45人死亡

26日(日)夜、パレスチナ側の報告によると、ラファ北西部、タル・アル・スルタンへのイスラエル軍による空爆で、女性や子供含むガザ民間人が、少なくとも45人が死亡。

地域では火災となり、BBCは数百人が火傷を負ったと伝えている。

一晩あけて、黒焦げになった現場に人々が集まっている。生き延びたものの、テントなどもすべて焼けて失われた人々である。

*地図:赤いエリアは人々が、ラファから避難した地域で、灰色の部分が、まだガザ民間人が残っている地域。赤く刺された地域が問題の地域。(BBCより)

イスラエル軍によると、ハマス指導者2人を対象にした空爆したところ、予想外に被害が民間人居住地に拡大したとのこと。ネタニヤフ首相は、“悲惨な事故”だとして調査を進めるとしながらも、ハマスへの攻撃は継続すると言っている。

しかし、タイミングが最悪で、その2日前の24日に、交際司法裁判所(ICJ)が、曖昧ながらもラファでの戦闘を停止するべきとの結論を出した後のこの惨事である。パレスチナ人は、いよいよジェノサイドだと叫んでおり、アメリカも困惑、世界からは、イスラエルへの非難が沸騰している。

本日、(イスラエルを憎む)アルジェリアの提案により、この件について、国連安保理が開催されることになっている。

イスラエルとラファの攻防のこれまでの経過:テルアビブにロケット弾8発

イスラエルは、ラファにいるハマスの指導者と4大隊を追い詰める作戦を継続している。できるだけ民間人の巻き添えを防ぐため、避難をよびかけ、これまでに100万人近くが、ラファから移動していった。しかし、まだ40万人以上は、ラファに残っている状態であった。

アメリカは、断固ラファへの攻撃は止めるべきと言い続けていたが、イスラエルから、民間人の巻き添えを最小限にする方策の提示があったとして、ある程度の戦闘には目をつぶってのひそかなゴーサインを出していたもようである。

(photo credit: VIA MAARIV ONLINE)

イスラエルは、国際法を遵守することに留意しながら、焦点のあたった小規模ながら強力に指導者を殺害する作戦を続けていたのであった。

そうした中、26日午後2時ごろ、ラファから大都市テルアビブやヘルツェリア、その周辺地域にロケット弾が8発発射された。

ハマスが、大都市テルアビブにロケット弾を発射するのは、4ヶ月ぶりのことであった。

3発はアイアンドームが迎撃したが、5発は空き地に着弾し、クレーターになった。ヘルツェリアで、破片が民家にあたって2人が負傷したが、軽傷だったとのこと。

www.timesofisrael.com/rocket-volley-fired-from-rafah-targets-tel-aviv-area-in-first-such-attack-in-months/

その夜のことである。イスラエル軍は、ラファで、ハマス指導者2人を殺害するための空爆を実施した。

ところが、この攻撃で、ハマス司令官2人(ヤシン・ラビアとハレッド・ナジャール)が死亡しただけでなく、避難民たちのテントが焼け落ち、大勢の民間人が死亡する事態となった。

ネタニヤフ首相は、これを予想外の悲惨な事故だったとして、戦時中の事件を調査する独立機関が調査を行うとしている。

これまでに、イスラエルがアメリカに対して報告したところによると、イスラエル軍は、小型化した弾道ミサイル2発を使用して、ハマス幹部2人がいるテントへ焦点を当てた空爆を行っていたという。

その時の爆発で生じた破片が、燃料タンクに飛び、発火して大規模な火災を誘発したのではないかとみられている。

www.timesofisrael.com/shrapnel-from-israeli-strike-may-have-ignited-fuel-tank-near-rafah-tents-report/

ジェノサイドだとパレスチナ人:国際社会も即時停戦で炎上・アメリカはイスラエルに理解も

今回、被災した地域は、ラファ北西部で、これまで人道地域とイスラエルも認めている、アル・マワシ地域ではないが、そのすぐ近くであり、支援団体も出入りしている地域で、いわば、「人道地域」にあたるとみられる場所であった。

このため、パレスチナ自治政府とエジプトは、イスラエルが、故意に難民センターを標的にしているとして、「占領軍による凶悪な虐殺」と非難した。ハマスは、イスラエルの虐殺に対して立ち上がらなければならないと言った。UNRWAは、ラファの様子は「恐怖だ」と述べた。

また、国連、EU、フランス、エジプト、カタール、サウジアラビア、トルコが、イスラエルに激しく非難し、ガザでの戦闘を即刻停止するようにと発表した。最新のニュースでは、EUが、イスラエルがラファでの戦闘をやめないなら、制裁を検討すると言っている。

フランスのパリでは、イスラエル大使館近くで、抗議デモが行われた。スペインでは、マドリードとバルセロナで同様のデモが発生した。

www.timesofisrael.com/thousands-in-paris-demonstrate-near-israeli-embassy-after-deadly-rafah-strike/

しかし、アメリカだけは、民間人が多数死亡したことに失望をを表明しているものの、イスラエルにも防衛の権利があると、一定の理解を示しながら、調査をすすめると言っている。

www.timesofisrael.com/no-longer-justifiable-israel-faces-international-condemnation-for-strike-in-rafah/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。