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国連総会が圧倒的多数で二国家共存案推進で可決
ニューヨークで開かれている国連総会は、9月12日(金)、イスラエルとパレスチナの二国家解決に賛同するかどうかで採択を取り、賛成142、反対10、棄権12の圧倒的多数で可決した。

これを持って、「ガザでの戦争を終わらせ、二国家解決の効果的な実施に基づき、イスラエルとパレスチナの紛争の公正で平和的かつ永続的な解決を達成するための集団的行動を求める」との声明を出した。
この議題は、アラブ連盟の合意のもと、アラブ諸国含む17カ国が署名して、7月に国連に申請していたものであった。
日本を含む大多数の142カ国が賛成票を閉じたのに対し、反対票を投じた国は、イスラエル、アメリカ、ハンガリー、アルゼンチン、ハンガリー、ミクロネシア、ナウル、パラオ、パプアニューギニア、パラグアイ、トンガである。
これが何を意味するかというと、要するに、パレスチナ人の国を立ち上げて、イスラエルや世界の国々と同じ権限を与えることに同意するということである。それで過激派も満足して、戦争が終、平和になると考えているということである。
国連総会で可決したことに、実行義務は発生しないが、国際社会のコンセンサス、“あたりまえ”を明確にするという事実上の権限はある。
なお、国連では、22日(月)に、フランスとサウジアラビアが、パレスチナ国家承認計画に関するサミットを計画している。現時点で、承認予定を表明している国は、フランス、イギリス、カナダ、オーストラリア、ベルギーである。
世界の後押しを受けて、パレスチナ国家承認が波に乗る様相である。
イスラエルは「政治的サーカス」と反発

なお、この決定では、10月7日のハマスの暴力を非難し、パレスチナ国家にハマスは関わらないとしており、ハマスは武器をパレスチナ自治政府に引き渡すとしている。
しかし、ハマスをテロ組織と定義づけはしていなかった。
イスラエルは、これまでと同様、「テロ組織に報酬を与えることになる」と反発した。
また、テロ組織に支配され、主要な指導者が不在であり、経済も崩壊しているような地域に、国家を認めるという、いわば非現実な決定に、「政治的サーカスだ」と反発した。
www.timesofisrael.com/un-overwhelmingly-endorses-call-to-establish-palestinian-state-without-hamas/
カタールでの攻撃が招いた?新たなイスラエル非難と内部の亀裂
この国連総会での採択は、イスラエルが、カタール領内でハマス指導者たちを攻撃してから、わずか3日後であった。
カタールでの攻撃のタイミングがいかに悪かったかを表している。世界はこの戦争をもはや容認できないと考えているといえる。
カタールでの攻撃について、イスラエルは独断の作戦と言っていた。同盟国アメリカに通達したのは、攻撃の直前、もう引き返すことができない時点であった。
トランプ大統領はこれに不満を隠していない。国連総会で集まっているカタール代表やアラブ諸国と食事を共にすると表明するなど、イスラエルの同盟国らしくない動きを見せている。
また国内での問題もあった。イスラエルでは、当初、カタールで地上部隊がハマス指導者を暗殺する計画だった。この方が確実だからである。
しかし、これまでハマスとの交渉を担ってきた、モサドのバルネア長官は、これに反対した。ハマスがアメリカの条件を検討している最終であったこともあり、この時期に攻撃したら、カタールとの関係が切れる可能性があったからである。
バルネア長官の考えに、イスラエルのザミール参謀総長も同意し、地上部隊の派遣には反対したとのこと。
しかし、ネタニヤフ首相は、この前日にエルサレムでのテロで6人が死亡したことから、空軍による、カタールのハマス指導者たちの攻撃を実行したのであった。これには、カッツ国防相、ダーマー戦略大臣も賛成してた。
結果的に、ハマス指導者たちの暗殺には失敗したとみられている。しかし、テロ組織に聖域はなく、指導者たちはどこにいてもイスラエルが攻撃するとの強力なメッセージを伝えたことにはなったとネタニヤフ首相は主張している。
アメリカと国際社会は、イスラエルが、またどこかでハマス指導者を攻撃するのではないかと懸念している。
石のひとりごと
国際社会は、パレスチナ国家と言っているが、では本当にそれが実現するのかといえば、かなり難しい、いや不可能にしかみえない。だから、イスラエルは政治的サーカスだと言っているのである。
世界はどんどん、おかしな方向へ向かっているようにみえる。世界だけではない。イスラエル国内でも、政府と軍が不一致という、混乱の中にある。
どうか、主がイスラエルを見捨てないように、その名のゆえに、イスラエルとその中に住む人々を助けてくださるようにと祈る。
