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ヤッフォで自警団も
先週、大きな衝突があったテルアビブ南のヤッフォ、特にアラブ人が多いアジャミ地域では、まだ緊張が高いままだという。こういう地域では警察が出回るだけで、暴力を誘発することがある。
このため、地域の男性たちが、自主的にパトロールしたり、モスクや家の前で共に座って、タバコをすうなどしながら、監視するという自警団的な動きがみられている。
ヤッフォ住民のカリル・ハバッシュさんは、こうした自警団の一人。ヤッフォには、2万人のアラブ人が住んでいるが、親類も多いし、みなよく知っている仲だという。ハバッシュさんは、通常は防衛に徹しているが、いざ攻撃されたら、皆、攻撃に回ってしまうと語る。しかし、今はみな、結局共に生きていかなければと察していると語っている。
一方、アジャミにはユダヤ人も住んでいる。ユダヤ人もアラブ人と同様で、ユダヤ人の安全を見守る他、情報のシェアが行われている。しかし、長年、この街に住んでいる人たちは、そんな雰囲気に抵抗も感じている。ユダヤ人たちも、元の生活に戻さねばと考えているとのこと。
アラブ人とユダヤ人が共に安全を守ろうという動きもある。スマホアプリWhat’s upで自警グループを作っている。しかし、今は、感情的にも50人が登録しているが、実際に衝突になると、5人残ったらいいほうだろうと警察はシビアにみている。
www.timesofisrael.com/in-jaffa-neighborhood-watches-emerge-amid-jewish-arab-ethnic-violence/
ユダヤ人暴行犠牲者の腎臓をアラブ人女性に
ガザとの戦闘中、アラブ人とユダヤ人が暴徒化して暴動になったロッド市。アラブ人暴徒の投石で殺されたユダヤ人のイーガル・イェホシュアさん(58)の家族は、本人の人柄や、共存に熱心な人であったことから、イェホシュアさんの体を臓器移植に提供することを決めた。
イェホシュアさんの片方の腎臓は、エルサレム在住のアラブ人クリスチャン、ランダ・アウェイスさん(58)に移植された。ランダさんは、「ユダヤ人の腎臓が私の体の一部になった。」と言っている。ランダさんの娘は、イェホシュアさんの家族に感謝を表明している。
移植手術を実施した、エルサレムのハダッサ・ヘブライ大学病院のハライラ医師も、臓器を提供した家族に深い感謝を表明し、「両者の間に平和と平穏があるように。皆が健康であるようにと願う。」と語っている。
なお、イェホシュアさんのもう一つの腎臓はユダヤ人のイツハク・ホデラさん(67)に、腎臓はユダヤ人(22)に移植されたとのこと。
www.timesofisrael.com/jewish-riot-victims-kidney-gives-new-lease-of-life-to-arab-woman/
石のひとりごと
結局のところ、個人個人に、喧嘩をするつもりはなく、皆平和な暮らしを求めているのである。それが、何かのきっかけで、紛争になってしまうのはいったいどういうことなのだろうか。
時間がたつごとに、ユダヤ人とアラブ人の以前の平穏は戻るだろうが、何かが、水面下に残っているというのが現状なのだろう。それがまた爆発する可能性は残りそうである。
しかし、イェホシュアさんは、その死によって、3人の人の命を救った。家族の思いにも敬意を覚える。憎しみも愛も、どちらも可能な人間とはいったい何者かとも思わされる。