国内もゲームチェンジ?ギドン・サル氏政権復帰でネタニヤフ政権盤石に 2024.10.1

September 29, 2024. (Chaim Tzach/GPO)

ゲームチェンジは、イスラエル国内でも発生している。これまでネタニヤフ首相は、与党でありながら、64議席とぎりぎりの過半数であった。

そのため、極右政党や、ユダヤ教政党など党の一つでも離脱すると、政権が崩壊することになる。ネタニヤフ首相は、これまれそれらの党に頭があがらない状況であった。今の政権が、強行的な右派より、超正統派優遇に傾いていたのはこのためである。

ところが29日(日)、ニューホープ党のギドン・サル党首が閣僚に復帰することが決まった。政権は、ニューホープの4議席を得て、68議席となった。これにより、たとえ、極右政党が離脱しても、ネタニヤフ政権は、存続できる。もうネタニヤフ首相が遠慮する必要はない。

このギドン・サル氏は、先月、ネタニヤフ首相が、ガラント防衛相を解任し、サル氏に防衛相になってもらうという話を出して、国内では大きな物議となった人である。

世論は、この戦時下に軍人として軍を導く経験のないサル氏が、防衛相になるなど、ありえないと言った。これを受けて、サル氏は、このオファーを固辞したのであった。その直後に、今のレバノンでの戦争に突入したということである。今回、政権に加わるサル氏は大臣席を持たない無任所閣僚ということになる。

このサル氏は、以前はリクード党に所属していたが、2014年に、ネタニヤフ首相の方針に同意できないとして決裂し、一時政界を離脱していた。その後、野党の立場で独自のニューホープ党を立ち上げ、10月7日以降立ち上がったネタニヤフ首相の戦時内閣に、一時ガンツ氏の青白党とともに参加していた。しかしその後、ガンツ氏と離反する中、3月には、戦時内閣からも離脱した。

ネタニヤフ首相戦時内閣と決裂する際、サル氏は、ネタニヤフ首相とは2度と組まないと宣言していた。そのサル氏が今、ネタニヤフ政権に戻る姿に、裏切りと見る見方もある。しかし、ネタニヤフ首相は、和解だといい、サル氏自身も、この国の危機にあたって、今やるべき愛国的な行動だと信じると語った。

www.timesofisrael.com/saar-rejoins-government-bolstering-netanyahu-as-longtime-rivals-say-rifts-mended/

最初の国会において、サル氏は、リクード党政治家たちに歓迎された。野党に対しては、今はユダヤ人同士で分裂している時ではないと強いことばで訴えたとのこと。

今後、イスラエルの方向を決定するネタニヤフ政権。主がこの政権をそのみこころからはみ出さないようにととりなしが必要である。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。