双方国境から奥地攻撃で北部緊張:イスラエル兵1人死亡・レバノン側12人死亡 2024.2.16

ツファットから負傷者を搬送

レバノンのヒズボラとイスラエルとの砲撃の応酬は、ほぼ毎日のようにある中、昨日15日午前中の一連の応酬は、いずれの側も国境から、かなり奥地に及んでいたことがわかった。これまでよりエスカレートしたと言える。

しかし、やはり、ヒズボラは、まだ本格的なイスラエルとの戦闘は望んでいないとみえ、今回もそれ以上の拡大には、今のところなっておらず、一応の落ち着きを取り戻している。しかし、大きな戦争になる懸念は拡大したと言える。イスラエル軍はその準備を行なっている。

ツファットへのヒズボラの砲撃で女性兵士1人死亡

オメル・サラ・ベンジョ二等軍曹(IDF)

今回ヒズボラは、11発のロケット弾を、国境からかなりイスラエル領内に入った町、ツファットに向けて発射していた。

9発は空き地に着弾。2発が、ツファットにあるイスラエル軍の基地を直撃していた。迎撃ミサイルのアイアンドームは作動していなかったようである。

基地にいた兵士たちもまさかツファットまで攻撃が及ぶとは思っていなかったようで、慌ててシェルターへ駆け込む様子が見られる。

直撃を受けた2棟の焼け跡から、女性兵士のオメル・サラ・ベンジョ二等軍曹(20)の遺体が発見された。

このほか、8人が負傷。1人は重傷、1人は中等度、6人は軽症である。この基地はいわゆる最前線ではなく、重傷を負った兵士は、コンピューター関連の仕事で予備役についていた男性だった。

死亡したサラさんは、理数系に優れており、海外でエンジニアを学ぶ夢があったという。

イスラエルのレバノン内陸への戦闘機による爆撃で12人死亡

上記攻撃の数時間後、イスラエル軍は、反撃として、レバノン領内の奥深い地域で、広範囲に5つの地域へ、戦闘機による爆撃を実施した。

標的は、ヒズボラの精鋭ラドワン部隊など武装組織の基地や空軍基地、そのインフラである。ヒズボラ関連のメディアによると、ソウアネへの攻撃で、女性とその2人の息子が死亡。アードチットで1人が死亡した。

その後の報道では、少なくとも12人。アルジャジーラでは、ヒズボラ4人と市民11人など、さまざまな情報が出ている。

*10月7日以降・北部紛争での死者数(レバノンとシリアからの攻撃関連も含む)

イスラエル側:市民6人と兵士予備役兵10人

ヒズボラ側:ヒズボラ戦闘員195人、レバノン軍兵士とパレスチナ人テロ組織29人、ジャーナリスト2人を含む市民20人

www.timesofisrael.com/one-killed-8-injured-as-rocket-barrage-from-lebanon-hits-safed/

国連決議1701の見直しは可能か

イスラエルとヒズボラ戦闘のエスカレートを止めるために必要なことは、両サイドが2006年に合意制定された国連決議1701に基づいて、非武装地帯を維持することである。この件については、アメリカのホフスタイン特使が、地域で奔走している。

昨日、フランスが1701決議案を譲歩させた新たな歩み寄り案を出したが、その後どうなったかの報道はない。

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石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。