アルジェリアのガス油田人質事件について、アルジェリア軍の4日にわたる強行突入で、人質23人、テロリスト32人が死亡。死亡が確定した外国人は現時点で7人。この中に日本人は含まれていないが、10人の安否がまだわかっておらず、緊張が続く。
<フランスのユダヤ共同体が警戒態勢>
今回のアルジェリア人質事件では、背景に隣国マリでフランス軍が行っているアルカイダ系イスラム勢力への攻撃が関わっていることは前回報告した通り。今回の犯行はフランス軍に領空を使用させているアルジェリアに報復するためという動機もあった。
これを受けて、すでに反イスラエル思想からの反ユダヤ行為が頻発しているフランスではイスラム主義過激派がユダヤ人への反ユダヤ行為を激化する可能性が高いとして警戒態勢に入っている。
イスラム主義者らは、アメリカとイスラエルを敵視しているため、対イスラム行為であれば何であっても最終的には反イスラエル、反ユダヤ行為へと発展させるのである。
<サハラ砂漠のアルカイダとフランス軍>
この事件で明らかになったのが、北西アフリカ、サハラ砂漠で勢力を強めるアルカイダ系のイスラム武装勢力である。
アルカイダは、2011年、ウサマ・ビン・ラディンが米国特殊部隊に殺害されてから、勢力が落ちたと伝えられていた。しかし、欧米の目にとまりにくく、干ばつの他、麻薬売買などの犯罪組織により、北西アフリカ諸国では、アルカイダの流れを受け継ぐ武装勢力が国境を越えて勢力をのばしていたのである。
彼らが特に勢力を伸ばしているのが、チュニジア、アルジェリア、リビアなどをマグレブ諸国と呼ばれる国々。この地域に隣接するマリ共和国では、すでに3分の2がイスラム武装勢力に乗っ取られ、首都バマコにせまる勢いとなっていた。
このため、かつてこの地域を支配し、今も影響力のあるフランスがマリへ軍事介入を開始。地上軍まで投入したのが先週16日である。現在マリにいるフランス軍兵士は2500人と報じられている。フランス軍は首都バマコ付近からイスラム勢力を押し戻したもようである。
フランス政府は、アフリカのことなので、アフリカ人で対処してほしいと考えている。そのためアルジェリア軍など正規軍の訓練にあたっているほか現在、アフリカ全土の国々に、イスラム勢力の制圧のための軍を派遣するよう要請しているもよう。これにナイジェリア軍などが応じているという。