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ガザで180日以上従軍した予備役兵・再召集で自殺
予備役兵であったエリラン・ミズラヒさん(写真左)は、昨年10月7日の事件を受けて招集され、ガザ周辺、音楽フェス会場で、遺体の回収にあたった。
その後、ガザに入り、今年4月に負傷して帰国するまで、工兵として、戦闘に加わっていた。
母親のジェニーさんによると、エリランさんが負傷したのは2回目で、1回目の時は、帰国せず、自らの意思でガザに残留していたという。
2回目の負傷で、帰国後は、PTSD(心象的外相後ストレス症候群)と診断されていた。エリランさんは妹に、「ガザで地獄を見た」と語り、それ以外のことは話したがらなかったという。
6月7日、そのエリランさんに、再度ラファへ行くようにとの招集令状が届いた。エリランさんは自殺した。
戦場では、友人たちが目の前で死亡し、その遺体を運び、自分も生死の危機の中で、まさに休息もない中で、何日も過ごさなければならない。戦場の厳しさは想像を絶する。
以下は、8日に、4人の人質を奪回した部隊の記録映像。兵士が装着していたカメラの映像である。まるで映画のようだが、映画ではない。生死をかけた非常に緊迫した、激しい戦闘である。
こうした戦闘に、職業兵士だけでなく、市民がら招集された予備役兵も加わっているということである。
家族は、エリランさんを戦死者として、エルサレムのヘルツェルの丘に埋葬することを願ったが、イスラエル軍は、現役中ではないとして、これを拒否しているとのこと。
イスラエル軍自殺者の問題
ガザでの戦闘に加わった予備役兵の自殺はこれが初めてではない。昨年8月にも2人が自殺しており、その時点で、イスラエル兵の自殺者は8人であった。
その後のデータは不明だが、さらに増えていることが懸念される。
エルサレムポストによると、精神衛生上、徴兵逃れようとするケースは、2018年は7.9%だったが、2023年は13%に達するとみられていた。
ガザなどでの兵役が終わった兵士たちの中には、その後、海外旅行に出掛けてる人も多いが、こうした心の痛みを抱えているケースも少なくないだろう。
www.jpost.com/israel-news/article-754378
エルサレムポストによると、イスラエル軍には、昨年11月から、予備役兵のメンタルヘルスケアを担当するレブ・エシュ(心の火)と呼ばれ得るプロジェクトが立ち上げられている。利用している兵士は1万人だという。
www.jpost.com/israel-news/article-804942
負傷兵とその社会復帰の問題
負傷兵の数については、昨年12月末の時点で6000人と伝えられていた。その多くが四肢の切断など大きな障害を抱えて、リハビリをしてている。しかし、その数が多すぎて、病院が間に合わないとのことであった。
今はそれからもう半年になる。以後のデータはないが、苦しんでいる兵士は、戦争の背後で増え続けていることは間違いない。
イスラエルには、傷痍軍人のケアにあたるNGOがあるが、過去の戦争も含め、ケアにあたっている傷痍軍人は、5万人だという。