www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4599791,00.html
エルサレムから車で8分の入植地・マアレイ・アドミムに隣接する産業地域ミショール・アドミム。パレスチナ人を数百人雇用するユダヤ人企業ソーダストリームがあるなど、ユダヤ人とパレスチナ人が、共に働く町である。
その町のスーパーマーケット・ラミ・レビで、買い物に来ていたユダヤ人男性2人が、パレスチナ人テロリストにナイフで切られるというテロが発生した。
テロリストは、16才の少年1人だった。事件発生とともに、店員たちと、たまたま居合わせた非番の首相府警備員が、銃で犯人の足を撃ち、すみやかに逮捕となった。
被害にあった男性2人は頭を切られるなど中等度の負傷。現場には血が飛び散っていたが、さすがはイスラエル。すみやかに清掃し、2時間後には、すでに大勢の客でにぎわう、いつもと変わらぬラミレビに戻っていた。
なお、エルサレム周辺では、この他にも、グッシュ・エチオンで、パレスチナ人女性(22)が、ユダヤ人男性を刺して逮捕され、今日は、検問所にナイフをもって近づいて来たパレスチナ人女性(16)が逮捕された。「ユダヤ人を殺そうと思った。」と自供している。
<ラミ・レビ社長:共存は守る>
パレスチナ人によるテロが頻発する中、エルサレムでは、アラブ人を解雇したり雇わなくなる傾向が始まっている。
数週間前にシナゴグを襲ったテロリストの出身地ジャベル・ムカバに隣接する地域では、新しいタクシー会社が立ち上がった。ちらしに「安息日休業。運転手は全員軍隊上がり」と書かれている。つまり、ユダヤ人運転手のみで安心という意味である。
今回被害にあったスーパーラミ・レビ(ユダヤ人経営)は、日本で言えば、マルアイとかマルナカ(関西四国地方・食品中心の大手格安スーパー)で、エルサレムを中心に各地に店舗がある。安いので人気のスーパーである。
ラミレビは、ユダヤ人従業員とともに、多数のアラブ人従業員を雇用している。特にミショール・アドミム店舗は西岸地区にあるため、従業員にも買い物客にもパレスチナ人が多数いる。従業員は毎日顔を合わせ、来る客もだいたい決まっているので、家族のようなものだとラミレビ社長は語る。
ラミ・レビでも、最近のテロの増加で、アラブ人従業員の雇用の見直しへの圧力がかかっているという。しかし、社長は、「共存は守る。人種に関わらず雇用する。フランスやヨーロッパでユダヤ人を拒絶されたくないのと同様、私はパレスチナ人を拒否したくない。」と決意を語っている。
<ユダヤ人負傷者を助けたパレスチナ人> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4599639,00.html
今回のテロでは、ラミ・レビで働いているパレスチナ人も、負傷したユダヤ人の救出を手伝っていた。そのうちの一人は、暴動スポットの一つ、東エルサレムのシュアハット在住で、なんと6月にユダヤ人過激派に殺されたアラブ人少年の従兄弟だった。
「私は戦争をしているわけではない。傷ついた人を助けるのは当たり前だ。私の家族はみなそういう教育を受けている。暴力は暴力をうみ、平和は平和を生む。将来、状況が変わり、こうした事件がなくなることを願っている。」と語った。
読者には、こうしたテロで、恐れを感じているのはユダヤ人だけではないということをお伝えしたい。一般のパレスチナ人たちは、ユダヤ人からの報復や、仕事を失うことを恐れて生活している。
ユダヤ人もパレスチナ人も、大部分のごく普通の一般庶民たちは、テロに関わっておらず、日々の平穏を願っているだけである。なんとか、共存が成立している町に、テロという水を差してもらいたくないものである。
すばらしい記事をいつもありがとうございます。本当に、パレスチナ人にもユダヤ人にも平和を願う人々はたくさんいるのにもかかわらず、一部のひと達イスラエル政府や軍・テロをするパレスチナ人)のテロや暴力行為のために悲しい思いをさせられています。なにか暴力が起こった場合、その犯人の属するグループ全員に対して被害者側が報復をし、そのまた報復の繰り返しが起こる。その循環を断ち切るには、私達ひとりひとりが個人として相手の側にたって考えるという想像力を奮い立たせるしかないかと思います。(イスラエル在住)