目次
教師のスト一応の合意で新学期開始
イスラエルでは9月1日、新学期が始まった。イスラエルは深刻な教師不足に陥っており、新学期直前に、教職員組合がストが行っていたが、なんとか財務省と話がまとまり、予定通り、1日に新学期を迎えた形である。とはいえ今日は金曜なので、明日はまた安息日で休みである。
今日、学校へ戻った子供たちは全国で253万5000人。このうち、幼稚園から1年生へ進級した子供は18万1000人。
中学生50万人・高校生は50万人で、義務教育12年を終えて、卒業生した人は14万2000人。
幼稚園は2万4400園、学校は5560校。イスラエルは特別な才能がある子供たちについては、その能力をさらに伸ばすための特殊教育を行う。
29万5000人が特殊教育を受け、さらに15万人は、特別な英才教育を受ける。
チャンネル12の記事によると、子供たちの名前で、一番多いのは、男子でヨセフ、続いてダビデ、モーセ、ヤコブ、イサク。女子は、レイチェル、みか流、エステル、サラ、ミリアムと意外にオーソドックスな聖書登場人物ばかりである。これらが、あだ名みたいに呼び名はそれぞれになっていくものとおもわれる。
分断のイスラエル社会でのカリキュラムは?
イスラエルは人種、宗教、考え方など、世界一多様といってもよい社会である。これまでから多様な社会、人々を学ぶカリキュラムではあったが、今年はさらに、社会の分断という局面に立っている。このため、特に「あらゆる紛争における管理を学ぶ」というテーマが掲げられた。
社会の分断の危機や、紛争の原因や背後にあることを理解し、それに対処する方法を学ぶということである。特に、今問題になっている司法制度改革について理解を深めるとのこと。
小中学校でも、この問題をとりあげ、社会で物議になっている問題において、意見の違う人々と互いに敬意を親密をもって話し合う力を育成することを目標とする。
深刻な教師不足
イスラエルでは年々、教師の数が減っており、深刻な教師不足に陥っている。小学校では、3000人が不足。高校では必要数の20%が不足しているとのこと。
このために新学期直前にストが行われたのだが、話し合いの結果、大雑把な点では、対面授業を1時間ふやす代わりに、個人学習指導を3時間減らし、2000シェけるの昇給が予定された。
ユダヤ人とアラブ人の格差も
イスラエルでは、どうしてもユダヤ人優遇になる傾向は改善されていないという。地方に住んでいる学生は大学にも遠いし、奨学金を受けるチャンスもアラブ人の方が不利だという。
www.jpost.com/israel-news/article-756729
石のひとりごと:自立の原則
イスラエルの教育は、日本のように、全体をそれなりにそろって、学ばせるカリキュラムというよりは、優秀な者はさらに優秀になる道がひらけていくという感じである。頑張って、勉強し、いろいろ探していれば、道がひらけてくるということである。
イスラエルでは、高校を卒業すると、基本的に男子は3年、女子2年軍隊に行く。その後で、自分は社会でどんな足跡を残していくのか、貢献をしていくのかという視点で、進路を考え、大学に行ったり、さまざまな訓練を受けて、社会に出ていくようになる。親に備えてもらった道をいくという様子はない。
しかし、当然、落ちこぼれる学生もいる。しかし、イスラエルでは、全ての子供には、必ず何らかの才能が備えられているとの考えから、国のためにも、落ちこぼれた後でも、特に軍隊で再教育するなど、さまざまな道が用意されている。
とはいえ、そうした道に進むかどうかは本人次第なのである。要するに、イスラエルでは、学生本人次第、自立原則なのである。
だれが導いてくれるのを待っていても何も起こらないが、がんばって探していくなら、いくらでも道はひらけていく。教師不足で、ケア不足はその傾向に拍車をかけるかもしれない。