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イスラエルの盾と弓作戦:ガザで13人死亡
9日深夜、ガザでイスラム聖戦のトップ指導者3人を暗殺したイスラエルは、その後も、ガザや西岸地区で、先手先手を行く作戦を継続している。幸い、まだイスラエルへのロケットやミサイルが撃ち込まれたという情報はない。
しかし、イスラム聖戦もハマスも、イスラエルは痛いツケを見ると言っているので、イスラエルではまだ緊張が高いままである。
ガザのハマス保健省からの情報によると、9日深夜の攻撃で死亡したのは、暗殺された3人の他は、子供4人を含む10人のパレスチナ市民だった。Times of Israelは死亡した人々に関する情報を写真もあげて報道している。
死亡した4人の子供たちは、暗殺された指導者と一緒にいて死亡したハジャールさん(5)とそのいとこのライラさん、アリ君(9)とその姉のマヤールさん(10)。来週に結婚を控えていたダニアさん(19)とその妹エマンさん(14)、地域の歯科医だったジャマル・カスワンさんなどとなっている。ロシア政府はカスワンさんが、ロシア国籍だと言っているとの情報もある。
イスラエルは反撃に最大限の対処
当然ながら、イスラム聖戦は、報復を叫んでおり、ネタニヤフ首相もこの先1週間程度の戦闘になるとの見通しを国民に伝えた。
イスラエルは、ガザから40キロ圏内に住む南部住民を避難所に避難させ、迎撃ミサイルを配置するなど厳重な準備を行った。この先、ハマスが戦闘に加わってくれば、戦闘はさらに長引くことになるが、ハマスからは「イスラエルはツケを払う」といった声明は出ているだけで、今の所、大きな動きはない。
イスラエル軍の先手攻撃
こうした中、イスラエル軍は、反撃を待つだけでなく、ガザ国境をすべて閉鎖して監視し、ガザ地区だけでなく、西岸地区、双方にいるイスラム聖戦、またハマスの動きを捜査し、彼らがイスラエルを攻撃する前にその可能性を破壊する先手をうつ作戦を行っている。
1)ガザ2回目攻撃でイスラム聖戦2人死亡:イスラム聖戦死者15人に
9日午後、イスラエル軍は、再度南部でガザでの空爆を行い、イスラム聖戦メンバー2人が死亡。2人が負傷した。イスラエル軍によると、死亡した2人は、イスラエル南部へ撃ち込むミサイルをその発射状へ運搬しているところだったという。
2)西岸地区ジェニン南部でイスラム聖戦2人死亡
西岸地区ナブルスは、イスラム聖戦が拠点を置いているとみられている。イスラエル軍は、10日早朝深夜、ナブルス南部のカバティヤにあ捜査に入ったところ、銃撃してきたので反撃した。
この戦闘で、アフマド・ジャマル・アサフ(19)とラニ・ワリード・カタナト(24)が死亡した。またこの戦闘で17歳のパレスチナ人が重傷になっているとのこと。
⭕ مصادر محلية: شهداء جنين هم الشابين:
👈 احمد جمال عساف من قباطية
👈 راني وليد قطنات من مخيم جنين pic.twitter.com/KXXgcp0q56— إذاعة الأقصى – عاجل (@Alaqsavoice_Brk) May 10, 2023
ヒズボラの反応
イスラム聖戦指導者ら3人の暗殺を受け、レバノンにいるヒズボラのナスララ党首は、イスラエルの野蛮な攻撃と非難し、ヒズボラは、イスラム聖戦と完全に同調する」語った。しかし、今の所、ヒズボラが動く気配はないようである。
世界からのイスラエル非難
イスラエルのガザへの急襲を受けて、隣国のヨルダン、エジプトが、国際法違反だとして、これを非難する声明を出した。カタール外務省は、「占領政府の、無防備な市民に対する新たな恐ろしい暴力のエピソードだ」との声明を出した。トルコも非難声明を出した。
パレスチナ自治政府は、5月15日をイスラエル独立75周年の“悲劇”として覚える「ナクバの日」と定めている。自治政府は、国連にこの日を強調する形で、イスラエルのガザへの攻撃に対処するよう訴えた。国連の中東和平特使は、「ガザの市民を殺害することは全く受け入れられない。」と非難した。
石のひとりごと
こうなると、イスラエルだけが残酷な攻撃者に聞こえるが、その前に、ガザからイスラエル領内へ無差別に104発ものミサイルが発射されたことは誰も指摘していない。死者が出なかったのは、ただただイスラエルが、市民を守るために、迎撃ミサイルを開発、駆使してこれを防いだからである。
イスラエルを非難するなら、イスラム聖戦こそ、全くイスラエル市民に向けての攻撃を行っていたということもまた覚えるべきではないか。
無論、15人もの死者が出ており、子供たちや市民の人生も断ち切られたことは、犯罪ではないとは言えないだろう。ただイスラエルだけを非難するだけでは解決には至らないとも思う。