<経済活動再開早すぎ認める>
イスラエルでは、感染者だけでなく、重症者、死者も増えていることはお伝えしている通りである。その中で、失業者が以前100万人以上(失業率22%)というのは、世界にも比類なき高さである。このため、政府は、感染者が増えてきても、経済活動の再開を止めなかった。
しかし、今、懸念された通り第二波という事態になり、国民からの批判が高まってきている。これを受けて、ネタニヤフ首相は、9日夜、国民に向かって、これからの具体策と展望を述べるとともに、国民への励ましを語った。
特に注目されたのは、ネタニヤフ首相が、経済活動再開において、最後のイベントホールやバーなどの開放が早すぎたと、失敗を認めた点である。ネタニヤフ首相は、対策がうまくいかなかったのは、自分の責任であるとして、その修正をする責任も自分にあると語った。
しかし、同時に、未知のコロナ対策はどうしても試行錯誤になると理解を求めた。また、結婚式の人数をごまかして20人以上で開催したりしている人がいると聞いていることについて、「このウイルスはごまかせない。」として、順守の徹底を呼びかけた。
また、マスクの着用やパーソナル・ディスタンス、手洗いを徹底するよう呼びかけた。加えて、これらを守ったとしても、まだしばらくは、罹患率が下がらないということも承知しておいて欲しいと述べた。
今後の経済における具体的な方策としては以下の通りである。
1)助成金の遅れについて
政府はこれまでに、失業保険の延長や、休業者の再開補助企業に対する雇用再開補助を決めたが、古い手続きのシステムが原因で、遅れが生じた。このため、税務署に、企業の実情の可視化を早めて、来週中に送金できるよう、指示した。
2)12ヶ月セーフティネット
ネタニヤフ首相は、以後1年間のサポートシステムのポイントを提示し、それらを実現するプランを作成するようカッツ財務相に指示したと述べた。
そのポイントとは、以下のとおり。
①失業保険の受給を2021年6月まで延長する。(失業率10%以下を目標)
②自営業者へのとりあえずの支援金7500シェケル(約25万円)の支給
③収入が激減した企業への持続化給付金(収入3万シェケル規模までの企業に、6000シェケルを上限として毎月支給する。30万から100万シェケル規模の企業には、50万シェケルを上限として、2ヶ月ごとに支給。(支給額は、減額になった収入で判断)
④より良い条件、低金利での国からの借款を実現
ネタニヤフ首相は、これらは、イスラエルの経済が強いので実現可能だから心配はないと述べた。
<タムズの月の17日:ユダヤ人は苦難から立ち上がる>
イスラエルは、今日はタムズの月の17日で、これから3週間、ユダヤ人にふりかかった様々な苦難を覚える。そのクライマックスは、ティシャベアブとよばれる神殿崩壊記念日(今年は7月30日)である。
ネタニヤフ首相は、ユダヤ人は、こうした苦難をも覚える民であると話し、ユダヤ人は嵐の中で立ち続ける民だと述べ、以下のように締めくくった。
私たちは崩壊、捕囚を通ったが、いつも内に霊の強さを保ち、立ち上がってきた。私たちは、神の助け、それぞれの責任と互いの信頼で、強く、繁栄した国を立ち上げた。苦難がイスラエルの民すべてを新たな段階へと進ませてきたのだ。だから、私たちはともに、このウイルスにも勝利する。
(GPO資料より)
ネタニヤフ首相の言葉を裏付けるかのように、このコロナ危機の中、9日、北米から38人のユダヤ人新移民が、イスラエルに到着した。詳しくは、まもなく、アップする記事を参照していただければと思う。