イスラエルは12日夜中、釈放すると約束したパレスチナ人の囚人104人のうち、最初に釈放される26人の名簿を発表した。釈放はその48時間後、すなわち今夜夜中(日本時間14日早朝)に実施されるみこみとなった。
ただし、不祥事が発生した場合はただちにとりやめとなるので、13日午前0時の時点で、まだ釈放の正確な場所や時間は発表されていない。
名簿によると、26人は、1993年以前からイスラエルの刑務所にいるテロリストで、全員1人以上のイスラエル人を殺している。中にはホロコースト生存者を殺した者、おので殴り殺した者など凶悪犯ばかりである。
26人のうち14人がガザへ、12人が西岸地区へ釈放されることになっている。現在、囚人を南部ガザ行きと西岸地区行きと2か所に集めるなど、刑務所では準備が始まっている。
イスラエルは2年前に、ハマスに拉致されたシャリート兵士と交換にパレスチナ人1027人を釈放したことがある。このうち殺人などで終身刑の者は280人だった。
その犯人の1人に父を殺されたダーハンさん母娘は、「痛みは大きかったが、シャリート兵士が戻ってくるならと、なんとか慰めをみいだした」という。ところが今回はまったくなんの見返りもなく、平和への希望もないところに凶悪犯の釈放である。犠牲者家族らは泣き叫びながら「釈放するな」と訴えていた。
名簿が発表された翌朝12日、犠牲者家族は不服申し立てを出した上、テルアビブなど釈放反対デモを行ったが、釈放は実施される方向である。
<不服、しかし祝祭準備のパレスチナ側>
パレスチナ側のアッバス議長は、発表された名簿を見て、期待していた者たちの名前がないとして落胆ぎみだという。また26人のうち、半数以上が西岸地区ではなく、ライバルのガザへ戻されるのである。これはアッバス議長のめんつを十分立てたことにはならない。
しかし、釈放される者たちの家族としては数十年ぶり、中には終身刑でもう帰ってこないと思っていた息子や父たちが帰ってくるのである。ラマラでは大歓迎のための準備がはじまっている。
こうした祝祭が行われないよう、イスラエルは夜中の釈放にしたのだが、やはり大々的な歓迎になりそうである。