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人質2人救出のビデオ公開
12日にイスラエル特殊部隊によって解放されたフェルナンドさん(61)とルイスさん(70)の救出の時のビデオをイスラエルが発表した。
救出された2人に、兵士たちが、喜びと励ましの言葉をかけ続けている。
こうした特殊部隊による救出はこれまでに3回試みられた。1回目は、10月下旬に女性兵士オリ・メギデシュさん(20代)の救出に成功したが、12月に2回目が行われた際には、救出に失敗し、人質だったサハル・バルーフさん(25)は死亡した。
www.timesofisrael.com/so-happy-youre-here-president-herzog-meets-idf-soldier-rescued-from-gaza/
今回は3回目である。イスラエル軍のハガリ報道官は、今回もかなり難しい複雑な作戦であったと語り、残りの人質が全員こういう形で救出できると考えるのは非現実的だと警告している。
作戦成功後、ネタニヤフ首相は、警察庁長官、ベン・グヴィル国家治安相とともに、作戦を遂行した部隊を訪問し、「イスラエル史上最も栄光ある作戦の一つだ」と称賛を送った。
なお、ネタニヤフ首相の兄のヨナタン・ネタニヤフさんは、1976年のエンテベ空港での人質奪回作戦の時に死亡している。
ハマスに拉致された人質たちの現状
1)これまでに釈放された人112人
人質は、これまでにまず4人が解放され、続いて11月下旬に1週間かけて105人が釈放された。イスラエル軍によって生きて奪回した人質は3人。10月7日にハマスに拉致されたが、帰国を果たした人質は、112人である。
2)死亡して帰国した人11人
この他では、人質3人がハマスと間違われて友軍によって射殺されるという悲しい事件があった。また遺体となって帰国した人質は8人。
人質になった挙句に死亡した人は計11人。
3)今も生きてガザにいるとみられている人質134人(数字は約と考えること)
①生きている人100人
②遺体になっている人29人
③10月以前からの5人(生きている2人と遺体3人)
www.timesofisrael.com/idf-rescues-2-hostages-from-south-gazas-rafah-in-daring-nighttime-operation/
人質奪回にむけた交渉への努力:カイロでの交渉継続中
ガザでの死者数が、2万8000人(ハマス戦闘員死者数含む)と総人口の1%を超えてきたことから、国際社会は、停戦に導こうと必死である。これまで、アメリカ、カタール、エジプトが仲介し、カタール、パリ、そして今はカイロにおいて、イスラエルとハマスの交渉が行われてきたが、まだ結果は出せていない。
カイロから出された案は、「ハマスがイスラエル人の人質を全員返還する代わりに、イスラエルは終身刑レベルを含むパレスチナ人テロリスト1500人を釈放すること。イスラエル軍がガザから完全撤退すること」を条件とするものであった。ネタニヤフ首相は、「これは、イスラエルの敗北に他ならない。妄想的だ。」として、一蹴したのであった。
要するに、イスラエルは、人質奪回と同時に、ガザが非武装化して安全な形を作り上げること。そのためには、ハマスの消えてもらわなければならないので、これはハマスの敗北を意味するわけである。交渉がうまくいくのは至難の技以上のものだろう。
こうした中で、イスラエルが100万を超える難民がいるラファへ攻撃を開始したので、難民の流入を懸念するエジプトとヨルダンが慌てて行動を開始し始めた。両国は、難民を一旦引き受けたら、イスラエルガザへ戻らせないのではないかと強く懸念しているのである。
イスラエルは、停戦する気はないと思われるが、アメリカのバイデン大統領は、ネタニヤフ首相と電話をかけ、交渉の場になっているカイロに代表団を送るように強く圧力をかけたという。
このため、イスラエルからは、これまでと同様、モサドのデービット・バルネア長官と、シンベト(国内諜報帰還)のロネン・バル長官、人質捜索の諜報活動を担当するニザン・アロン氏が、カイロに向かうことになっている。
情報によると、バイデン大統領は、イスラエルにとりあえず、6週間の停戦を求めており、その間に3段階で人質を帰国させ、その間に、なんらかの恒久的な解決を探し出すことを期待しているという計画のようである。
この案にイスラエルがそのまま応じるとは思えない。ネタニヤフ首相が一向に妥協姿勢を見せないので、バイデン大統領との関係にヒビが入っているとの報道が出ている。