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トランプ大統領追加関税の混乱
トランプ大統領は、アメリカが世界諸国に対して、不条理なほどに膨大な貿易赤字になっている(2020年過去最大を記録)として、4月2日(火)、各国への追加関税を発表。
5日(土)にまず第一弾として、各国の関税に10%を上乗せした。(一部商品の免除あり)
続く9日(水)には、第二弾として、国別に定めた追加関税の上乗せを発動した。
しかし、そのわずか13時間後に、それを一旦棚上げにすると発表した。棚上げは90日間の予定で、その間に、交渉を希望している国々と、個別で交渉を行っていくという。(先の10%はそのままである他、日本の車など一時停止が適応されない品目もあり)
しかし、中国については、アメリカへの報復関税を打ち出したことから、アメリカもさらに50%増やして125%にすると表明した。
すると中国は、アメリカに34%の追加関税を課すと発表。アメリカへの関税は84%となった。するとトランプ大統領は、その数時間後、中国への関税をさらにあげて、最新では145%にすると発表した。
こうなると、アメリカの企業が中国から製品を輸入できなくなってくる。一例では、アメリカのアイフォンは、主に中国で製造されている。
この他、レアアースが入らなくなるので、アメリカのテクノロジー関連企業に大きな問題となる。農業なと様々な領域にも影響は避けられず、まずは、アメリカ国内に大きな影響が出ることになる。今後アメリカでは物価上昇が予想され、経済衰退もありうる。
また国際通貨基金によると、アメリカと中国の貿易は、2025年時点で、世界経済の43%を占めるという。両国の貿易紛争は、アメリカ国内にとどまらず、全世界に影響を及ぼすことになると予測されている。
www.bbc.com/news/articles/cz95589ey9yo
株価変動とアメリカ国債売却の動きに世界経済への危機感も
トランプ関税により、株価は毎日激しく変動している。トランプ関税が発表されると、株価が急落したが、90日の追加関税保留が発表されると、一気に回復することとなった。
しかし安定が戻ったわけではないと言われていた。そうした中、注目されたのが、アメリカ国債が売り傾向にあるという点である。
アメリカでは、関税の混乱から、アメリカ国債の長期金利が上昇。それと反比例すると言われる、国債の価値が下がることとなり、売りに拍車がかかったとみられている。
アメリカ国債は、世界において、安全とされており、通常あまり売られないものだという。それが、今、売られたということで、国際経済全体に不安が広がっていると考えられる。
このままであれば、アメリカだけでなく世界に、経済危機をもたらすことにもなりかねない。トランプ大統領が突然、追加関税を90日保留にしたのは、これが原因だったのではないかとの見方が広がっている。
なお、アメリカ国内では、イーロン・マスク氏がこの政策に反対している他、トランプ大統領の共和党内部でも、この混乱については危機感が上がっている。来年行われる中間選挙で支持率が下がれば、政権に大きな打撃となるからである。
www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10EWW0Q5A410C2000000/
なお、世界経済の悪化を警戒し、すでに金の値段が上がって、最高値(1オンス3200ドル)を更新している。
www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-10/SUIYFIT1UM0W00
ロシアは追加関税対象外ということ
世界で大騒ぎになっているトランプ大統領の追加関税だが、ロシア、またベラルーシも蚊帳の外で対象外とされている。アメリカ政府は、両国はすでに経済制裁の下にあり、実質的にはロシアとの貿易が阻止状態にあるからだと説明している。
ジェトロ(日本貿易振興機構)によると、アメリカとロシアの2021年の貿易額は360億2700ドルだったが2024年には35億3400万ドルと10分の1になっている。
しかし、一方で、アメリカは今、ウクライナ問題でロシアを交渉する立場にあるため、関係に水をさしたくないのではないかとの見方もある。
いずれにしても、追加関税の対象外になっているとはいえ、世界経済への影響はロシアが除外されることはない。
www.jetro.go.jp/biznews/2025/04/fbf64bfabdef8784.html
石のひとりごと
筆者は経済学者でないので、非常に大雑把な書き方だが、今後、世界に経済危機が広がるとすれば、ますます第二次世界大戦前の様相に近づいていくような気がする。(1929年世界恐慌以後、ナチスが勢力拡大)
また、中国がアメリカに輸出できないとなると、ロシアやイランとの貿易を増やすかもしれない。
世界の二分化が進むことからも、大きな戦争の影を感じさせられる。そうなれば、また反ユダヤ主義にも拍車がかかるという、悪循環である。間違いであればよいのが・・。