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4回目接種後の効果は限定的
コロナ中核病院のシェバ医療センターで、世界で初めて医療従事者から、60歳以上の高齢者へと4回目接種がはじまってから約1ヶ月になる。これまでに4回目接種を受けた人は、16日の時点で、50万人にのぼる。
シェバ医療センターのギリ・レゲブ・ヨハイ教授によると、4回目のワクチンを接種すると、確かに3回目の接種後よりも多くの抗体が形成されたという。しかし、4回目接種後にも、すでにオミクロン株に感染した人がおり、現存のワクチンが、オミクロンに対しては、アルファやデルタの時ほどの効果は、期待できないとの結果を発表した。
しかし、シェバ医療センターは、今ハイリスクの高齢者については、とりあえずは、4回目をすすめるべきであると言っている。
4回目については、専門家の間でも賛否両論であることは前回お伝えした通りである。一つの仮定だが、短期間にワクチンを打ちすぎると免疫系が疲弊して、新たな変異株がきた際に、対応できなくなるとの懸念があるとのことであった。WHOも4回目については、慎重にと言っていた。
www.timesofisrael.com/israeli-trial-worlds-first-finds-4th-dose-not-good-enough-against-omicron/
イスラエルが呈するワクチンに関するデータ
人口950万人のイスラエルでは、総人口の約3分の2が、少なくともワクチン接種を終えている。3回目まで完了している人は440万人。4回目まで受けた人は50万人強。ハアレツ紙によると、子供を除いて、まだ一回もワクチンをしていない20歳以上の成人は、14%。成人の9-10人に1人となっている。
この状況の中で、保健省のデータとしてハアレツが、13日に伝えたところによると、現在、重症化している患者の45%は、ワクチン未接種者か1回だけ接種者であった。ECMO装着までの超重症者なると、全員が未接種者であった。このように、30歳以上では、どの年齢でも未接種者の方が重症化していることがわかっている。
子供へのワクチンの結果
昨年11月に始まった5-11歳の子供たちへのワクチン接種については、保健省が発表したところによると、昨年12月25日から今年1月16日の2週間のデータで、ワクチン未接種の子供10万人の中で、オミクロンに感染した人は260人。一方、ワクチン接種した子供10万人中で感染した人は120人であった。
12歳以上のティーンエイジャーの場合は、ワクチン未接種の10万人中、感染したのは330人。ワクチン接種とブースターも受けていた10万人中で、感染したのは90人であった。これまでは、ワクチン接種で、子供たちの感染予防に効果を得ていたといえる。
www.jpost.com/health-and-wellness/coronavirus/article-693976
予防効果はあるが効果がうすれるのは早くなってきている?
このように、3回目までの接種でみれば、これまでのところは、ワクチンに予防効果、重症化予防効果も一定程度はあったとみられる。ところが、側近のデータによると、少し違う様相が伺える。
発症している5-11歳の子供は5万3000人を超えるが、このうち4万7000人は、ワクチン未接種者である。ところが、12―15歳の中では、発症者3万4000人の中で、2万人は、ワクチン接種者という結果であった。
5-11歳の子供たちは、昨年11月からの接種だが、それより先にワクチンを受けていた12-15歳では、接種していた人も感染していたということになる。やはり時間とともに効果が薄れるということなのだろうか。
もしくは、やはりワクチン接種の回数が増えてくると、免疫系が疲れて、生産する抗体量に限界となり、新たなオミクロンに対応できなくなっているのか、これまでのワクチンによる抗体が、オミクロンには効きにくいということなのか、これについてはこれから明らかになっていくだろう。
www.timesofisrael.com/vaccinated-kids-half-as-likely-to-get-omicron-but-protection-fades-fast-study/
石のひとりごと
イスラエルは、うまくいかなかったというようなことも、隠さず発表しているので助かる。いずれにしても未知のことである国によっても状況は違う。
4回目をどうするのか、各国は、イスラエルや諸国のデータを見ながらも、それぞれが決めていかなければならないだろう。