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キーフなどウクライナ16都市にミサイル
ゼレンスキー大統領によると、ウクライナでは、10日朝、ロシアからミサイルが、朝の通勤ラッシュにあったキーフなど16の町に、計84発撃ち込まれた。
このうち、43発は撃墜したが、その他の40発以上が、市街地の住居や道路、インフラ施設を破壊した。人々は、地下鉄など、シェルターに駆け込んでいた。
しかし、その後もイラン製ドローン24機による攻撃が続き、ウクライナ軍は、これまでに13機を撃墜したとのこと。
一連の攻撃により、少なくとも14人が死亡。60人が負傷している。また重要なインフラが破壊されたため、停電に陥った地域もあった。これから冬に入るウクライナに十分な暖房が供給できるかどうか、懸念される。この時期に、じつに狡猾な攻撃である。
危機一髪:キーフのシナゴーグから100メートル地点にミサイル着弾
キーフにミサイル攻撃があったとき、ユダヤ人コミュニティセンターのシナゴーグでは、メンバーが集まって、仮庵の祭り第一日目を祝っている最中だった。ミサイルは、そこからわずか100メートルの地点に着弾したが、メンバーは無事だった。シェルターでかどうかは不明だが、仮庵第一日目は皆で最後まで祝ったとのこと。
www.israelnationalnews.com/news/360992
キーフには、いくつかシナゴーグがあるようだが、この危機一髪でミサイルから守られたシナゴーグは、ハバッド派のシナゴーグだった。
かつて、キエフには、豊かなユダヤ人コミュニティがあり、シナゴーグも賑わっていた。しかし、ロシアのウクライナへの侵攻が始まってから、ユダヤ人たちが次々にイスラエルへ移住していき、もう前のような賑わいはない。
キーフで特に伝統的なブロツキー・シナゴーグ(ラビ・アズマン)は、いわばイスラエルチーフ・シナゴーグとそのラビである。ロシアの侵攻が始まって以来、ウクライナ全国のユダヤ人を、イスラエルへ移住させるために、200万ドルを使ってきたという。今では、シナゴーグに誰も来ない空っぽの日もある。
一方、キーフにわずかに残留しているユダヤ人たちは、同じウクライナ人という点で、キリスト教のギリシャ正教などの異教徒と団結する動きもある。
キーフの近くには、ホロコースト時代の1941年に、3万人以上が2日の間に銃殺され、放り込まれた穴、バビ・ヤールがあるが、10月7日、この事件から81周年の記念イベントが行われた。その式典に、ラビ・アズマンとともに、ギリシャ正教、カトリック教会の神父たちも共に、この式典に参加していた。皆、この事件と、ロシアのウクライナ侵攻を重ね合わせていたという。
これからロシアはどう動くのか?
ウクライナはこの脅しに屈することはない。となると、ロシアも攻撃をやめないだろう。プーチン大統領は、この攻撃が、クリミア橋の爆破への報復であると明言しており、これからも、やられたら、もっとひどい攻撃をやり返すと明言している。
またメドヴェージェフ首相は、ソーシャルメディアで、「冬の前に、電気や水が止まったが、それは単に始まりに過ぎないと知っておくように。」とのメッセージをアップした。
さらに、BBCによると、この攻撃の日は、シリア内戦介入時の恐ろしい無差別攻撃を指揮したことで知られる、セルゲイ・スロヴィキン将軍の就任初日であったとのこと。これらから見えることは、ロシアが、非常に狡猾に、ウクライナだけでなく、世界に向けても深い恐怖と、脅迫を投げかけた形である。
また、これまで陸上戦では敗北を続けていたロシア軍だが、やはりミサイルというハイレベルな武器を出されては、ロシアがウクライナに負けることはないということを、国中外に強調した形である。ロシア国内では、今、反プーチン勢力を抑える右派が勢いづいているとのこと。
今、最も懸念されるのは、核兵器の使用である。ニューヨークタイムスは、プーチン大統領が、攻撃後のメッセージの中に、西側を意味する言葉を入れていなかったことに注目し、今はまだ、西側との対立にまでは発展させる気がないのではないかと分析している。無論、分析でしかないが。。
西側首脳の反応:G7主の意会議と米欧50カ国外相会議
当然ながら、バイデン大統領は、すぐにロシアを非難する声明を出した。岸田首相含むG7は、本日オンライン会合を開催しており、対応を協議するとともに、共同声明が出される見通しである。また明日12日には、米欧50カ国の外相会議が行われる。
石のひとりごと
プーチン大統領は実に狡猾に動いている。このまま、核戦争にまで行ってしまうのだろうか。今、バイデン大統領の決断は重い。人の力ではもはやどうにもできないようにみえるが、主は、予想外の方向へ変えることもできるお方である。主にあわれみを祈る。