ロシアがシリアへS300を搬入へ 2013.5.17

今週14日、ネタニヤフ首相がモスクワを電撃訪問(いわばお忍び訪問の状態)し、迎撃ミサイルS300をシリアに引き渡さないよう、プーチン大統領に直訴した。

しかし、ロシアは、それに返答するかのように16日、「今後シリアに武器を販売することはないが、これまでの約束は守る。」として、S300をシリアに搬送すると発表した。

S300がシリアに配備されると、イスラエルやアメリカの戦闘機が容易にシリア上空に入ることができなくなる。また、万が一、S300がヒズボラに転送されたら、イスラエルには大きな脅威である。

さらにロシアは、16日、アメリカの新聞が伝えたところによると、地中海に面するシリアの軍港にロシアの戦艦数隻を派遣したという。その中には高度な対潜水艦迎撃ミサイルを配備しているものも含まれるという。ロシアの戦艦がスエズ運河を越えるのは数十年ぶりになる。

これは、ロシアが、イスラエルとアメリカに対して、シリアに介入しないよう、釘をさしているものと分析されている。

<シリアに関する国際会議もロシアが意見>

16日、オバマ大統領は、ワシントンを訪れているトルコのエルドアン首相と会談し、シリア国内で、化学兵器が使われていることを認めるとの見解を発表した。

シリアでは、シリア政府軍機が物体(化学兵器)を落とす様子がビデオにとられたり、その付近で発生した患者の医学的所見からも、サリンの使用は間違いないとみられる。3,4,月ですでに5回は使われたもようである。

シリア内戦の死者は9万人を超え、国連難民事務所によると、シリア人国外難民は150万人を超えた。

これに対し、欧米は、シリア政府、反政府勢力を含む国際和平会議を開いて、解決をめざす方向で動いている。しかし、ロシアが再び難問を持ち出している。すなわち、会議にイランとサウジアラビアを含めなければ意味がないといっているのである。

イランに厳しい経済制裁を科している欧米としては、イランとともに会議に連なるわけにはいかない。ロシアは、この点について、「欧米は自分たちの都合のよいグループだけを会議に参加させようとしている。それでは意味がない。」と主張している。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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