レバノンでの死者は、毎日100人前後かそれ以上になっている。レバノン保健省によると、ポケベル爆発以来の死者は1000人を超え、今も日々増え続けている。*死者数に民間人と戦闘員の区別不明
またイスラエルの警告で自宅を離れたレバノン市民は、100万人(総人口549万人)と、国民の20%近くにのぼり、多くは、野宿を強いられている。また、レバノンには、シリア難民150万人いるといわれており、多くは住む場所を失っている。レバノンから国境を超えてシリアへ逃れた人はすでに10万人と推定されている。
この混乱の中、レバノンのミカティ暫定首相は、国連総会での登壇を終えてすぐ帰国。市民に一致を呼びかけると共に、ベイルートや、イスラエル国境にも治安維持のための部隊を派遣した。
レバノンは、ヒズボラのシーア派勢力とパレスチナ人含むスンニ派社会、ドルーズ社会、キリスト教社会が混在している複雑な国である。1975―1990年は内戦が続く中、1982年にはレバノン戦争となった。2006年にもイスラエルとヒズボラによる第二次レバノン戦争があった。
2020年は、ベイルート港で巨大爆発が発生。社会は再び不安定となり、前ディアブ政権が総辞職して政府は崩壊。今のミカティ暫定首相が後を引き継いでいるが、大統領不在、正式な政府がない状態である。
こうした中、レバノンは、イランを背景にしたヒズボラの支援に頼らざるをえない状態だった。今、そのナスララ党首が死亡し、ヒズボラが混乱している。レバノンは、国内が再び混乱する可能性がある。
ミカティ首相は、早く停戦をと訴えている。ミカティ首相は、2006年の国連決議1701(ヒズボラはリタニ川以北に留まる)を遵守すると入っているが、ヒズボラにそれを遵守させる動きはない。というか、絶対に無理だろう。
<外国人のレバノン脱出>
レバノンでの戦争が始まったことを受けて、ドイツ、ブルガリア、イギリスなどが、民間航空機で、外交官など自国民の脱出を始めた。カナダ人はまだレバノンに4万5000人おり、脱出の計画がすすめられている。
日本政府も、脱出する日本人のために、ギリシャとヨルダンに、自衛隊機を待機させている。・・日本人は、自力で、まずレバノンを脱出しなければならないということである。