レバノン南部ほとんどの家に武器発見とIDF:激戦でイスラエル軍兵士10人戦死 2024.10.25

IDF troops belonging to the Etzioni Brigade walk through a destroyed Hezbollah stronghold in southern Lebanon, October 21, 2024. (Sam Sokol/Times of Israel)

レバノン南部激戦中:武器庫350カ所摘発と

イスラエル軍が本格的にレバノン南部の国境地帯に侵攻したのは9月。イスラエルは、空爆による一掃作戦ではなく、地上軍によるインフラや武器の摘発と破壊、指導者層の暗殺という限定的な作戦を行なってきた。

以来、ひと月あまりになるが、イスラエル軍は、その地域にいるヒズボラの指導者や戦闘員2000人を無力化しながら、インフラ破壊。膨大な武器庫を次々に摘発している。発見した武器庫はすでに350箇所にのぼっている。

現場で指揮をとっているIDFエツィオニ旅団のセレル・セバグ大佐によると、レバノン南部のほぼすべての家に武器を発見しているという。以下はイスラエルとの国境からわずか200メートルの地点で見つかった武器の山。

これまでに押収した武器は、対戦車ミサイルなどRPG約2500個、爆弾関連装置3200個。これほどイスラエルに近いところに、これだけの武器が蓄積されていたことから、セバグ大佐は、ヒズボラが、ガザのハマスのように、イスラエル北部へなだれ込んでくるのは時間の問題だったと語る。

イスラエル軍の働きで、大きな惨事を阻止できたということである。

www.timesofisrael.com/after-clearing-lebanese-village-idf-troops-say-weapons-found-in-nearly-every-home/

なお、レバノン南部で戦闘を続けるイスラエル軍の目的は、ヒズボラが国境30キロ以北にまで存在しなくなり、避難を強いられて1年になる、イスラエル北部国境周辺の住民が、不安なく帰宅できることである。

セバグ大佐によると、イスラエルは、まもなく、次の段階として、問題の地域を一掃する(おそらくは空爆などで地域を裸にするような攻撃?)段階に来ているとのこと。

大きすぎる代価:イスラエル軍兵士10人死亡

レバノンでの戦闘は、空軍陸軍それぞれの働きで、少しずつ前進しているのかもしれない。しかし、そのツケは相当に大きい。

レバノン市民が120万人避難民になっていることは報じられているが、イスラエル軍の予備役兵たち(兵士ではなく市民で徴兵された人々)がその人生を、予想外に終わらせていることは、全く伝えられていない。

IDF

イスラエル軍によると、23日(水)午後。レバノン南部で、ヒズボラ戦闘員数名が突然、トンネルから現れて、兵士たちに手榴弾を投げつけて戦闘になった。

この戦闘で、予備役兵4人が死亡。6人が負傷した。3人は重傷とのこと。死亡した兵士は以下の通り。

モルデハイ・ハイム・アモイアル准尉(42)、シュムエル・ハラリ曹長(35)、シュロも・アビアド・ネイマン曹長(31)、シュヴァエル・ベン・ナタン一等軍曹(22)

またその翌日24日(木)には、やはり南レバノンでの戦闘で、犬を扱うオケッツ部隊指揮官、ガイ・ベン・ハルーシュ一等軍曹(23)が、死亡した。この時、別に2人の兵士が重傷となった。

さらに、届いたばかりのニュースによると、さらにイスラエル兵5人が、南レバノンでの戦闘で死亡。4人が負傷した。

5人は、南レバノンの建物に入って捜査していた時に、ヒズボラのロケット弾が着弾して死亡したとのこと。

全員の年齢はわからないが、全員退役していて召集された将校たちのようである。負傷した兵士たち4人も、ぜ予備役であった。戦死した5人は以下の通り。

ダン・マオリ少佐(43)、アロン・サフライ大尉、オムリ・ロタン准尉、ガイ・イダン准尉、トム・シーガル曹長(28)

また、ヒズボラのロケット弾やドローンが、断続的にイスラエルへ発射されている。迎撃により、死傷者は出ていないものの、破片などの被害が出る。以下はカルミエルの被災したアパートの様子。

イスラエルでは、ハイファ周辺、ガリラヤ地域、また時にテルアビブで、毎日毎日、サイレンの日々が続いている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。