レバノンへの空爆でヒズボラ司令官死亡:ヒズボラから反撃・イスラエル北部へミサイル80発 2024.6.12

死亡したヒズボラ司令官たち Hezbollah commanders Wissam Tawil (left) and Taleb Abdullah in an undated photo published by Hezbollah on June 11, 2024. (Hezbollah media office)

北部情勢がエスカレートし続けている。10日夜、ヒズボラがイスラエルのドローンを撃墜したあと、イスラエルがは、ヒズボラの武器搬送などを担う部隊4400が駐屯していると見られるレバノン北東部、バールベック地域への空爆を実施した。AFPによると、施設が破壊された他、ヒズボラ戦闘員3人が死亡した。

この地域は、国境からレバノン内部130キロに及んでおり、レバノン領内最も深くでの攻撃となった。これに対し、ヒズボラはゴラン高原へ50発のミサイルを発射した。

11日、イスラエルは、レバノン国内南部ジョアイヤ(イスラエル国境から25キロ)への攻撃を実施。ヒズボラ関係のメディアによると、ヒズボラ司令官タレブ・アブダラと、戦闘員3人が死亡した。4人は作戦会議中だった可能性が高い。

その後11日日没、イスラエルではシャブオットを祝っている時、ヒズボラは、イスラエル北部へロケット弾を発射。以下は15発を受けたキリアットシモナの様子。迎撃ミサイルが撃墜している。ハイファやアッコの地域でもサイレンが鳴ったが、すべて撃墜に成功していた。合計この日だけで80発が発射されていた。

また、この日は、イラクから発射されたドローンを、イスラエルの戦闘機が撃墜したことも伝えられている。

10月7日以来イスラエルへのロケット弾1万9000発・撃墜したドローンは150機

なお、10月7日以来、ヒズボラがイスラエルに向けて発射したロケット弾は、1万9000発。ほとんどは、ガザから発射されたものだが、ここしばらく、北部レバノンからヒズボラが発射したものが急増している。

このうち、イスラエル軍が迎撃するのは、危険なものだけなので、迎撃したのは、数千発だという。ドローンも多数飛来しており、これまでに150機を迎撃したとのこと。イスラエルへの大きな被害は出ていない。

www.timesofisrael.com/iaf-says-over-150-enemy-drones-intercepted-amid-war-with-challenges-detecting-them/

ヒズボラとの戦闘に備えて:シリアのイラン関係を攻撃続行

北部情勢はエスカレートし続けており、今後、ヒズボラとの本格的な対戦の可能性が高まっている。具体的には、ガザとの戦闘が何らかの形で鎮まる方向になった時が、北部での戦闘が本格化するのではないかとみられている。

その際に問題になるのは、イランの存在である。イランとイスラエルの間には、イラクがあり、イランはイラクに軍事拠点を展開しており、武器をヒズボラに供与できる形を準備している。

イスラエルは、シリアにあるイランの武器庫やIRGC(イラン革命防衛隊)の拠点などと攻撃する作戦を継続している。攻撃地点には、アレッポ空港、ダマスカス空港なども含まれている。

4月には、ダマスカスのイラン領事館付近への攻撃で、IRGCでヒズボラへの武器移送の責任者であった、IRGC トップの一人、ザヘディ司令官が死亡していた。6月2日のアレッポ近くへの攻撃では、IRGCのエリートを含む18人が死亡。別の攻撃でもヒズボラ4人が死亡していた。

ガザでの戦闘以来、イスラエルはシリア領内へ50回の空爆を行っている。それらの攻撃で、死亡したIRGC関係者は20人以上、ヒズボラ司令官は30人以上とみられている。

www.timesofisrael.com/anticipating-war-with-hezbollah-israel-weakening-iranian-proxies-in-syria/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。