イスラエル法務局が、リーバーマン現職外務相を背任罪で起訴することが決まったことを受けて、14日、同氏は外務相、ならびに副首相から辞任する意向を発表した。
リーバーマン氏は16年近く前から、不正な政治献金を受け取り、資金洗浄(不正な資金でないようにみせかけるための操作)していた疑いで捜査されてきた人物。
今回の起訴は、同氏が捜査情報を警察から不正に入手しようとしていたという背任罪で、汚職そのものについては証拠不十分として不起訴のまま捜査も終了することになった。
<総選挙への影響>
リーバーマン氏は、極右とされるイスラエル・ベイテイヌ党の党首。先月、ネタニヤフ首相が、リクードとベイテイヌとの合併を発表し、選挙名簿も合同で作製したばかり。同氏は、「法的には外務相を辞任する必要はないが、総選挙(1月22日)までにこの件をクリアにしておきたいとのことで辞任を決めたと語っている。
つまり、外務相は辞任しても、政治生命が終わったわけではなく、起訴がクリアになれば、総選挙にもそのまま出てくる形となる。ネタニヤフ首相も、「起訴がクリアになり、次期政権では活躍してほしい」と語っている。
<極右で爆弾おとし発言が多いが、根強い人気のリーバーマン氏>
リーバーマン氏は、「ユダヤ人としての本音だが、それを口に出したら論争になるので通常は言わない」といったような事柄をそのまま言うことがある。たとえば、「アラブ人はイスラエルから全員いなくなるべき」といった発言である。
また先週11日、リーバーマン氏は、ヨーロッパのほとんどの国が国連総会でパレスチナの格上げに賛成し、エルサレム郊外で西岸地区にあたるE1地区にユダヤ人住宅建設を進めるイスラエルに圧力をかけるヨーロッパに対し、
「ヨーロッパは、イスラエル打倒を叫ぶハマスと、それに沈黙を保っているアッバス議長に対してなんの対処もしていない。これはナチスの虐殺を知りながら何もしなかった1930年代ホロコーストの時代のヨーロッパと同じ状況だ。」とダイレクトに発言し、”どんびき”と”ひんしゅく”をかった。
しかし、極右としてけむたがられる一方、内心「そのとおり」と思っている市民も少なくなく、根強い人気がある。またリーバーマン氏は自身がロシア系であるため、ロシア系住民の支持基盤もある。