水曜夜はユダヤ教の祭り、ラグ・バ・オメルというたき火の祭りの日だった。
この祭りは、聖書的な例祭ではない。ユダヤ教の根幹をなす書物の一つで、ユダヤ神秘主義の基でもある「ゾハル」の著者、ラビ・シモン・バル・ヨハイを記念する祭りである。
それによると、ラビ・シモン・バル・ヨハイは、2世紀、イスラエル北部ペキーンの洞窟に13年間隠れている間に、神から特別な啓示を受け取った。ラビは、それを死ぬ当日になって明らかにすることを決めた。
この日、ラビが啓示を語り終えるまで、太陽が沈まなかったという言い伝えから、夜にたき火をして明るくする、というのがこの祭りである。
祭りそのものは、16世紀に、ユダヤ教学者でもあるラビ・アイザック・ルリアによって考案されたのだが、正統派ユダヤ教徒だけでなく、世俗派にまで広がって、今や、イスラエル全国の風物詩になっている。
祭りの本家本元は、北部メロン山のラビ・シモン・バル・ヨハイの墓で、全国から集まるユダヤ教徒が,今年も6万人にのぼった。ぎっしりになった人々の間で巨大なたき火を行い、その回りで歌いよろこぶのである。
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全国各地では、地域の空き地などで家族や、若者のグループが三々五々、キャンプファイヤーをする。
世俗派などは、この日、なぜたき火をするのか知らない人がほとんどなのだが、とにかくこの日は「たき火の日」ということになっていて、マシュマロを枝に突き刺して焼きながら食べたりして、朝まで楽しむという具合である。
しかし、毎年消防隊には頭の痛い日である。今年はそれが悪夢となってしまった。たき火の日の翌日木曜、エルサレム郊外のあちこちで燃え残った火が山に広がり始め、一時は、住民を避難させるという騒ぎにまでなった。
消防署は、消火の決まりを守らない正統派たちを非難したりしていたが、幸い、夕方近くになってようやく火は消し止められた。