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昨夜6日夜は、過ぎ越し(ペサハ)と7週の祭り(シャブオット)のちょうど中日にあたるラグ・バオメルだった。
聖書には、「あなたがたは、(過ぎ越しの)安息日の翌日から、すなわち奉献物の束を持って来た日(初穂の祭り)から、満7週(49日)が終わるまでを数える(レビ記23:15)」と書かれている。
どのように数えるかというと、麦野束(オメル)を数えるということである。そのオメルを数え始めてから33日目、ちょうど中日に当たる日に、ラグ・バオメルとよばれる例祭を祝うのである。
これは聖書的な例祭ではないのだが、この日、正統派ユダヤ教徒たちは、北部のメロン山にいって、大きなかがり火をたき、その周りで踊って祝うことが習慣となっている。
今年も、数日前から周辺道路が閉鎖されるなどの警戒態勢の中、正統派ユダヤ人たち数万人が、メロン山の集まってラグ・バオメルを祝った。一般市民は、メロン山には行かないが、それぞれの地域の空き地で、家族や友人たちとともにかがり火をたいて、楽しんだ。
<ラグ・バオメルとは?>
ユダヤ教が今の形に確立していった2世紀ごろ、イスラエルでひどい伝染病が発症し、ユダヤ教では今でも敬愛されているラビ・アキバの弟子も、24000人が死亡した。
その伝染病がやんだのがラグ・バオメルの日だった。ラビ・アキバの弟子で生き残ったのはたった5人。そのうちの1人が、ユダヤ教の霊的教祖とも言えるラビ・シモン・バル;ヨハイだった。
ラビ・シモン・バル・ヨハイは、霊的啓示を受け、ヘブル語のアルファベットに隠された秘密の解き明かしなどのミステリアスな事柄をはじめ、様々な儀式を考案、「ゾハル」と呼ばれる書物にまとめた。これを守っているユダヤ教を「カバラ」、守っている人を「カバリスト」という。
そこから出た習慣が、今では普通の一般家庭にも広く取り入れられているため、どこまでがカルトで、どこまでが普通のユダヤ教なのか、区別することは不可能である。
たとえば安息日の儀式の多くは、カバラから取り入れられている。ユダヤ教において、ラビ・シモン・バル・ヨハイは、宗派を超えて偉大なラビの一人なのである。そのラビが埋葬されているのが、メロン山である。
なぜ火を焚くのかという点については、ラビ・シモン・バル・ヨハイが、死ぬ直前に、人類の光となるような最大の霊的な啓示を受け、「この日は皆で喜び楽しむように。」と言ったことから、火をたいて喜ぶ習慣になったのだという。
なんとなくカルトや偶像礼拝のにおいがするが、一般的には、ラグ・バオメルの背景をきちんと知って、この習慣を毎年やっている人はあまりいないのではないかと思う。
この日が何で、なぜキャンプファイヤーをするのか、これまで何年も、ユダヤ人たちに聞いて来たが、誰一人ちゃんと答えられる人はいなかった。上記はイスラエルに来て25年近くたって、やっと学校で学んだラグ・バオメルの背景である。
この日は、子供たちにとって、いわばキャンプファイヤーの日。家族や友達とさわぎながら、マシュマロをやいて食べるのが楽しみの一つということである。