先週9日にパリで17人が死亡したテロ事件。その後様々な動きや論議が続いている。主にユダヤ人に関するその後の動きと論議について以下にまとめる。
<ヨーロッパ各地で テロ警戒態勢:ユダヤ人学校休校> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4615831,00.html
フランスでのテロ事件から、ヨーロッパでは、いつ同様のテロが発生するかわからない状況が続いている。
15日、ベルギーでは、テロを計画していた組織へ警察が突入。シリア帰りのテロリスト2人を射殺した。取り逃がした者があったため、ベルギーでは16日、万が一に備え、ユダヤ人学校を休校にする措置をとった。オランダ、デンマークでも同様の措置がとられた。
ベルギーでの突入の後の16日、フランス、ベルギー、ドイツ、イギリスの警察は、これまでにISIS関連者などイスラム過激派、少なくとも30人を逮捕している。今後、こうした動きに対し、報復テロの可能性も懸念されている。
CNNがワシントンの情報筋として伝えたところによると、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダで、テロが発生するとの警告がある。パリでは、16日、電車駅では、爆弾テロの懸念から乗客を避難させ、駅を一時閉鎖した。
イギリスでは、テロは発生していないが、危険分子を2人逮捕した他、ユダヤ関連の施設を中心に警備体制を強化している。
ヨーロッパのユダヤ同盟代表のラビ・メナヘム・マーゴリンは、EUの内務省に対し、ユダヤ人学校の校長や教師が、銃を所持して自衛する許可を要請した。
イギリスのキャメロン首相は、ホワイトハウスのオバマ大統領を訪問。現在シリア・イラクで行われているISISへの攻撃を含め、今後のテロ対策について会談。一方17日、ケリー国務長官がパリを訪問し、アメリカはフランスとともにあるとのメッセージを伝えた。
アメリカは、先週パリで行われたテロへの反対と言論の自由を訴えるマーチ(ネタニヤフ首相を含む40カ国首脳とともに200万人が参加)に参加しておらず、批判の目が向けられていた。
<言論の自由に限界はある!?:イスラム教徒ら各国で大規模デモ> http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4615892,00.html
今回ヨーロッパを混乱に陥れたシャルリー・エブド紙のイスラム教預言者モハンマドを風刺した絵は、イスラム教徒には侮辱と映るものだった。しかし、同社は、テロの後にも、新たなモハンマドの風刺画を出し、テロに屈しない姿勢を見せている。
ヨーロッパが「言論の自由」で一致する中、17日、イスラムの金曜礼拝後、アルジェリア、セネガルなどアフリカ諸国、パキスタン、イスタンブール、ヨルダン、レバノン、カタールやバハレーンなどで、イスラム教徒による「言論の自由にも限度がある。」と訴えるデモが発生した。
アルジェリアとヨルダン(アンマン)では2000人以上のデモとなり、ヨルダンのアブダラ国王も参加している。エルサレムの神殿の丘でもデモがあったが、衝突にはなっていない。
法王フランシスは、テロには断固反対するとの立場を明確にしたが、同時に、「他者の宗教には敬意を払うべき。もしだれかが私の母を侮辱したら、殴られると思わねばならない。」とのコメントを出した。
これはテロを正当化するともとられかねないコメントだとしてニュースに取り上げられている。なお、法王は現在フィリピンの台風被害地域を訪問し、明日はマニラで、世界最大ともいわれるミサが行われる予定。
<イスラエルはどこまで関与すべきか?>
今回のテロではユダヤ系食品店が襲撃され、ユダヤ人が4人殺害されたことから、ネタニヤフ首相は、率先してテロに対抗するコメントを出している。11日、パリで行われた反テロを訴えるデモにも参加し、オーランド大統領らとともに先頭に立つ姿が報じられている。
フランス政府は、ネタニヤフ首相が参加すると聞いて、あわててパレスチナ自治政府のアッバス議長を招致しなければならなかった。フランスはイスラエルだけを歓迎するわけにはいかないのである。
ヨーロッパでのテロ事件はイスラエルと無関係でないことは明らかだが、イスラエル国内では、イスラエルが、そこまで率先して首を突っ込むべきかどうか、疑問視する意見も少なくなかった。
また、パリでは、ネタニヤフ首相が首脳のためのバスに割り込みする様子が目撃され、ラピード元財務省は、「イスラエルの恥をさらした。」と指摘した。*海外でのイスラエル人観光客は、順番無視や落書きなど横柄な態度で知られ、嫌われる傾向にある。
なお、これが原因とは言わないが、3月に総選挙を控え、ネタニヤフ首相の支持率は低下する傾向にある。