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西岸地区にユダヤ人入植者拡大の動き
イスラエルは南部国境、北部国境でも戦時下にあるが、西岸地区でも、イスラエル治安部隊が、ハマスやその他のテロ行為を事前に防ぐための軍事行動を続けている。
同時に、今の右派政権は、西岸地区のユダヤ人入植地拡大とその承認を進めると共に、パレスチナ人の違法建築を破壊する作業も行っている。
*ヨルダンに面するグレーエリアから西岸地区に網目状にひろがる同じ色の部分は、イスラエル軍支配域で、ユダヤ人の入植地がある。
西岸地区の60%はすでにイスラエル支配域である。西岸地区に住むユダヤ人は、約45万人(2-3万人が開拓中の前哨地に住んでいる)
肌色部分がパレスチナ人がいるエリアA(パレスチナ自治政府完全管理)とエリアB(イスラエルが治安維持に入る)である。
この中で、過激右派たちは、ここから入植地をさらに拡大しようとしている。左派団体ピースナウによると、2024年中に設立された違法入植地の数が、過去最大であったという。
また、国連人権高等弁務官によると、2023年11月から2024年10月までの1年の間に、イスラエルが、違法建築だとして破壊したパレスチナ人の建築物は1779棟に及び、前期報告時の200%増となっていた。
こうした中、今年3月23日、イスラエルの安全保障閣僚会議で、それまでまだ正式な入植地ではなく、既存の入植地周辺の前哨地と言われていた13カ所を、正式な入植地として承認することを決めた。
強硬右派シオニストのスモトリッチ財務相は、西岸地区における「イスラエルの主権」の確立への一歩だと語っていた。
4月1日(火)、カッツ国防相とスモトリッチ財務相は、西岸地区の入植地を視察。カッツ国防相は「西岸地区はイスラエルの心臓部である。あらゆる手段を用いてこれを守る」と述べた。
強硬右派入植者たちのパレスチナ人への暴力エスカレート
ここしばらく、西岸地区では、強硬右派のユダヤ人入植者たちが、パレスチナ人地区を襲撃したとの報道がどきどき出るようになっている。
4月1日(火)、約50人の入植者たちが、西岸地区北部、ドゥーマを種撃し、家屋に放火するなどして、パレスチナ人3人が負傷した。その後、入植者たちとパレスチナ人の間で衝突になり、さらに負傷者が出た。パレスチナ人たちは、イスラエル人入植者のポグロムだと叫んでいる。
🚨 BREAKING: Dozens of Israeli settlers carried out a pogrom in the village of Duma, near Nablus in the West Bank, setting Palestinian homes and vehicles on fire. Two people were reported injured after their house was set ablaze. pic.twitter.com/ZqOqRjstQE
— Ihab Hassan (@IhabHassane) April 1, 2025
イスラエル軍と警察が間に入ってこれを止めたとのこと。入植者の容疑者5人が一時身柄を拘束されたが、すぐに釈放され、逮捕者はなしである。
なお、今回襲撃されたドゥーマは、2015年にも入植者たちの襲撃を受けていた。
この時、パレスチナ人のダワブシャさん宅が放火され、中にいた生後18か月の赤ちゃんだったアリ・ダワブシェちゃんが生きたまま焼死し、両親も病院に搬送された後、死亡するという大変なことになっていた。
今回のドゥーマでの事件は、数日前に、入植者たちが、ヘブロンに近い、ジンバ村を襲撃し、住民と紛争になった数日後に発生していた。この時の暴行で、重傷を負った15歳の少年を含む3人がまだ病院にいる。
住民たちは、イスラエル軍は、いたが、入植者たちを止めようとしなかったと証言している。この時、パレスチナ人22人が逮捕されたが、入植者たちは逮捕されていなかった。
www.timesofisrael.com/theres-no-justice-palestinian-villagers-reel-after-brutal-settler-idf-rampage/
今は特に警察を管轄するのは、西岸地区からパレスチナ人を一掃しようとする極右政党のベン・グヴィル氏である。入植者たちの暴力は取り締まるどころか、奨励するぐらいかもしれない。
イスラエル国内では、左派議員たちが、これに反対している他、民間の左派団体もこれを摘発する動きを続けている。イスラエル人全員がこれを支持しているのではないが、今の政府が強硬右派なので、こういう流れになっている。国際社会からの非難は免れないだろう。