www.bbc.com/news/world-middle-east-31158919
2月3日、ヨルダン空軍のパイロット・カサスベ中尉が、焼殺されるビデオが公開された。しかも、犯行自体は1月3日だったという。すでに殺害しているにも関わらず、それを交渉に出すという卑劣きわまりないイスラム国にヨルダンの怒りが爆発している。
まずは、イスラム国が要求していたアルカイダ系テロリストのリシャウイ死刑囚を含む過激派2人を即刻殺害。3日後には、ヨルダン空軍機がシリア領内のイスラム国の武器庫などの施設を空爆した。
空爆を実施した空軍機は、カサスベ中尉の自宅のある村の上空を飛行し、その成功を知らせた後、無事、基地に帰還した。ちょうどその時間にあわせて、ヨルダンのアブドラ国王がカサスベ中尉の父親を訪問し、国王が父親と2人で、空軍機を見上げている。
さらに本日、ヨルダンの国営放送は、空爆に使用した爆弾に「ヨルダン将校から、ISISの犬へ」と書かれていたことを報じた。ヨルダンは、イスラム国への空爆がこれが最後ではないと言っている。
前回の記事にも書いた通り、アブドラ国王がここまで復讐を表明する背後には、ヨルダン国内で強大な力を持つ数々のベドウィン部族制度がある。部族たちは、さらに厳しい復讐を要求している。
しかし、ヨルダンには、イスラム国支持者も少なくないとみられ、それらが今後どう出て来るか懸念される。またヨルダンが有志軍に参加していること自体に賛成していない人々もいる。引き続きヨルダンとその国王を覚えてとりなしが必要。
<アメリカの対応>
オバマ大統領は、イスラム国との対決姿勢を明確にしているヨルダンに、今後2017年まで、年間4億ドル(470億円)の軍事支援を約束している。http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM06H0T_W5A200C1EAF000/
一方、ヨルダンの戦闘機が撃墜されてパイロットが捕虜になった時点で、UAE(アラブ首長国連邦)が、攻撃から退いていたことがわかった。
アメリカは、イラク北部に、万が一に備えて、パイロット救出のための特殊部隊を待機させるなど、有志軍の士気の維持をはかっている。
ところで、有志軍の攻撃の実績については、一進一退で、あまり明確な報道がない。先月、クルド人勢力が有志軍との協力で、コバネを解放したというニュースが入ったが、詳細は不明。
別のニュースでは、有志軍が、原油の精製施設などを空爆し、原油からの収入がイスラム国に入らないようにしているろいう情報もある。
しかし、白昼堂々とヨルダン軍パイロットを焼殺するビデオが流されたことで、有志軍の無能ぶりが明らかになったとの見方も出ている。
<日本政府の対応>
人質を2人も殺害された日本だが、参議院が5日、衆議院が6日になって、イスラム国への非難決議を出した。
現在、国内や海外の日本人学校などで、テロ防止のために様々な対策がとられているが、対外的には今のところ、めだった動きはない。