7月14日(月)、UTJ(統一トーラー党)が、連立からの離脱を表明した。超正統派ユダヤ教徒への従軍義務を表明している政府に反対を表明するためである。
離脱といってもUTJは7議席なので、離脱してもネタニヤフ政権に直ちに危機となることはない。
しかし、続いて16日(水)には、同じくユダヤ教政党のシャス党が、同様の理由で、連立からの離脱を宣言。シャス党の議席は11あるので、もし完全に連立から離脱した場合、ネタニヤフ政権は過半数を割ることになり、総選挙になる可能性も出てくる。
シャス党の真意は何かが注目されていたが、連立の法案に常に賛成票を投じないというだけで、議席はそのまま連立に残すという形にとどめると発表した。
これにより過半数は維持することになったが、7議席減ったことから、ネタニヤフ首相が、今後の政権維持のために、ベングビル氏や、スモトリッチ氏といった、強硬右派政党の要求を呑む傾向が強くなるのではないかとみられている。
特にこれら強硬右派政党は、ハマスとの交渉や合意に反対しているため、現在行われている交渉に影響を及ぼす可能性が懸念されている。
いずれにしても、今期国会は、夏季休暇に入る7月27日までとなっており、次回国会が開始されるのは3ヶ月先の10月である。この間に国会が解散ということはなく、ネタニヤフ首相が政権を維持することになる。
この日まで持ちこたえれば、ネタニヤフ首相は少なくともあと3ヶ月は政権を維持できる。ハマスとの交渉を引き伸ばしているのは、もし7月27日の前に、ハマスとの合意に至った場合、強硬右派政党が、政権を離脱することになり、総選挙になることを避けるためではないかとも推測されているところである。
政治はチェスのようなどろどろした側面がある。ネタニヤフ首相は、まさにそのどろどろの上を行く、プロフェッショナルで、現時点では、その上を行く政治家はいないようである。
www.timesofisrael.com/are-shas-and-utj-poised-to-collapse-netanyahus-government/
*超正統派の徴兵問題

しかし、近年これに世俗派たちが不公平感を訴えていることと、イスラエル軍も人手不足に陥っていることから、リクードの元国会議長ユリ・エデルステイン氏の元、このルールを撤廃。
今年6月から、5万4000人のイシバ学生に対し招集令状が送付されはじめた。
超正統派であっても、自ら兵役に就く者もおり、超正統派からなる部隊もある。
しかし、この時に新しく招集に応じた者はわずかで、ガザでの戦争中もこれに反対するデモも行われていたのであった。
