イスラエルでのテロの波は、まだ続いている。特に西岸地区、ヘブロン周辺でのテロが目立つ。昨夜13日夜、ヘブロン南にある入植地オテニエル在住のユダヤ人家族の車が走行中に銃撃された。
これにより、父のヤアコブ・リトマンさん(40歳代)が死亡。長男のナタナエルさん(18才)が救急隊に連絡しようとしたが、テロリストに射殺された。
その後、16才の次男が、中等度の負傷をおいながらも救急隊に通報。母親と娘たち3人も同乗していたが、救急隊が到着した時、4人には負傷はなかったものの、ショック状態に陥っていた。
事件の後、ハマスが声明を出し、このテロ事件を「英雄的」と評した。アッバス議長も、テロを非難せず、「我々は占領政策にうんざりしているのだ。」とテロを正当化するような発言をした。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4725112,00.html
<終わらないテロの波>
10月初頭の仮庵の祭りが終わってから始まったナイフなどによるパレスチナ人のテロと、イスラエル治安部隊とパレスチナ人らとの衝突は、2ヶ月たった今もまだ続いている。
これまでに殺害されたユダヤ人13人。その中には、テロリストに刺されて重傷となり、後に死亡したイスラエル軍兵士ベンジャミン・ヤコボビッツさん(19)も含まれている。
テロの波は、最近では、ヘブロン近郊や西岸地区に集中し、主には治安部隊や兵士をナイフで刺すテロ、バス停にいる人々に車で突っ込むなどのテロが連日発生している。
監視カメラがあちこちにあるため、テロリストの動き、治安部隊が射殺する様子などの映像が、頻繁に流されている。
特に、最近では、普通に見えるアラブ人女性が、いきなりバッグから大きなナイフを取り出して警備員に切りかかる恐ろしい様子や、車がバス停にいる人々をひき殺す様子などが生々しく報道されている。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/203074#.VkbdnKUWnA9
<11才最年少テロリスト>
エルサレムでは12日、市内の路面電車の車内で11才と14才のパレスチナ人兄弟(東エルサレム在住)が、25才の警備員を刺した。負傷した警備員は、11才のアリ・アルカムを撃って負傷させ、14才のムアウイア・アルカムは乗客らに取り押さえられた。
2人は、今回の犯行について、10月にダマスカス門で、2人のいとこにあたるムハンマド・アリ・アルカム(19)が治安部隊隊員2人を刺し、その場で射殺されたことへの報復だと供述している。
わずか11才。投石などではなく、刃物で直接、人間を殺害しようとした11才のテロリストは、イスラエル史上最年少である。写真を見ると明らかに小学生の体つきで、治安部隊一人に軽々と抱えられている様子がなんともいたましい。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4723519,00.html
<子供の犯罪について>
11才といえば、まだ小学生である。特に大きなビジョンがあったわけではなく、犯行に及ぶ際には、「これで自分は死ぬ。」と思ったと証言している。小学生が死について、そこまで具体的に考えるとは異常である。
イスラエルでは13才までは少年院、14才からは、刑務所に入ることになっている。
先月、エルサレム北部でユダヤ人少年を刺して逮捕された13才のアフメド・マンサラは、今月、14才の誕生日前に、判決を受ける計画とになっている。これにより、アフメドが刑務所に入らず、人生を破壊することのないようにとの配慮である。
イスラエルでは、たとえテロリストであっても、子供は子供として見ているようである。しかし、最近のテロリストの若年化を受けて、刑務所に入る年齢を下げる方向も検討されている。
それにしても、この子供たちの親は、今、いったい何を考えているのだろうか。子供がこうした犯罪に走った場合、これはもはや親の犯罪と言うほかない。イスラエルはその点も含めて検討している。
<テロの波:イスラエルの対処>
こうした一見、危険に見えない女性や子供たちのテロを防ぐのはほぼ不可能である。イスラエル治安部隊は、テロを扇動する 指導者を逮捕したり、西岸地区内部のテロリスト拠点の掃討作戦を行っている。
以下は、パレスチナ人になりすまし、ヘブロンの病院に潜入し、入院中のテロリストを、病室で取り押さえた十数人のイスラエル治安部隊の様子。この時、逮捕されたのは、10月25日にイスラエル人を刺したアザム・シャラダ(20)である。
シャハラダは、イスラエル人を刺した後、逃亡に成功したが、被害者に反撃されて負傷していた。治安部隊が病室でシャラダを逮捕した時、部屋にいたシャハラダのいとこが抵抗し、治安部隊に射殺された。
パレスチナ側はこれを「イスラエルのテロ行為。赤十字の国際法に違反している。」と非難している。治安部隊の方は、「たとえ病院にいても、罪は罪。赦しておくわけにはいかない。」と反論している。
最近では、ユダヤ人を刺したテロリストがパレスチナ自治政府に自首してイスラエルの追尾を逃れようとするものも現れている。
しかし、こうした作戦の中でパレスチナ人が死亡すると、またその復讐だといって、新たなテロリストが現れるのだから、これは本当に始末に負えない事態である。
イスラエル国内では、テロリストだからといってその場で射殺するのは行き過ぎではないかとの論議もあるが、国民の多くは、「その場で射殺すべき」との考えのようである。
<閑古鳥のエルサレム市内:ビジネス大打撃でバルカット市長が国に補償を交渉中>
最近のテロは主に西岸地区入植地で発生するようになっているが、それでもエルサレム市内では、まだ主なバス停や路面電車駅にイスラエル兵が2人づつは立っている。
筆者利用のバス停では、朝いたイスラエル兵2人が、4、5時間たって帰って来ても、そのままそこでぶらぶらと立っていた。見張りに何時間も立っているというのもなかなか困難な任務だろう。
町中では、まったく空っぽではないものの、レストランも市場も、いつもに比べると閑古鳥と言える。エルサレムポストによると、町の中心の小さな店などでは、収入が7割減ったところもあるという。雇用人を解雇しているところもあるという。
バルカット市長は、国に対し、治安維持の向上とともに、こうした小さな店舗への支援策を要請している。
<海外でも刺されるユダヤ人>
12日木曜、イタリアのミラノ近郊で、イスラエル市民でもある正統派ユダヤ教徒の男性ナタン・グラフさん(40歳代)が、ユダヤ系レストランの近くで刺される事件が発生した。
犯行に及んだのは、イスラムの服装の女性で、レストランから出て来たグラフさんを捕まえてナイフで9回刺していた。ヨーロッパでは、こうした反ユダヤ主義犯罪が急増しているとの警告がだされていた。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/203325#.VkcuJKUWnA9
先月にはフランスのマルセイユで、安息日の朝、シナゴーグから出て来たラビを含む3人が、襲われた。犯人は、反ユダヤ的なことばを叫んでいたという。
ヨーロッパだけでなく、ニューヨークでも先月には、イスラエル人で、ハバッド派イシバの学生たちに対して火炎瓶がなげつけられる事件が発生し、警察がユダヤ人地域を特別に警戒するに至っている。