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メルボルン郊外でシナゴーグ放火
オーストラリアのビクトリア州メルボルン郊外で、12月6日(金)早朝4時すぎ、アダス・イスラエル・シナゴーグが放火され、消防車17台、消防士60人で消火にあたったが、建物は燃え上がって大規模に破損した。
シナゴーグ内部とトーラーの巻物も燃えてしまった。火災当時、シナゴーグの中で祈っていたユダヤ人はまだ少数だったので、男性1人が軽い怪我をしただけだったが、あと1時間遅かったら、数百人が被害に遭っていた可能性がある。
このシナゴーグは、メルボルンでは最大級の大きなシナゴーグだった。
Exclusive footage showing the devastating aftermath inside the firebombed synagogue in Melbourne, Australia. pic.twitter.com/UdwtRXfBUE
— Osher Feldman (@OsherFeldman) December 6, 2024
放火犯は、マスクをしていた男たちで、まだ逮捕されていない。事件を受け、アルバネーゼ首相は、「これは、反ユダヤ主義暴力だ。オーストラリアにあってはならないことだ」と犯行を批判した。
いわゆる会堂管理者にあたる、ベンジャミン・クライン氏によると、このシナゴーグは、1995年にも放火されていた。当時子供だったクライン氏は、ホロコーストサバイバーの祖父と、焼けこげたシナゴーグに立っていたことを覚えていると語っている。
クライン氏は、またシナゴーグを立て直すと言っている。
オーストラリアのニュースによると、シナゴーグ関係者たち数百人が集まって、こうした行為に負けずに、支え合っている様子が伝えられている。
放火の数時間後ユダヤ人パン屋襲撃も:昨年10月7日以来反ユダヤ主義暴力4倍
シナゴーグ放火の数時間後、メルボルンのユダヤ人パン屋で、ハンマーを掲げた男が逮捕された。パン屋は、ホロコーストサバイバーであるメンデル・グリックさんが1960年に設立した店で、ユダヤ人のビジネスの象徴のような存在だった。
オーストラリアでは、昨年10月7日以来、反ユダヤ主義暴力が4倍になっているという。政府は、昨年から1600万ドルを費やして、対処しているが、あまり効果はあがっていないようである。
オーストラリアでは、現在、シナゴーグやユダヤ人関係施設周辺の警備を強化している。
ネタニヤフ首相がオーストラリアの政府を批判で政治問題に発展の様相も
シナゴーグへの放火について、事件当初、アルバネーゼ首相は、これは明らかに反ユダヤ主義暴力だと批判した。
しかし、その後、ネタニヤフ首相は、これは反ユダヤ主義暴力だと批判するにとどまらず、「現在の労働党(左派)政権が反イスラエルの態度をとっているからだ」と政府を批判した。
ネタニヤフ首相が、そう言うのは、オーストラリアが先週、イスラエル人の右派より政治家であるシャキード氏を「不和と先導する」として、入国を拒否したことや、国連総会が、イスラエルは西岸地区から撤退して、占領を止めるべきとの採択を行った時、オーストラリアは賛成票を投じたからである。
しかし、オーストラリアでは、これに反発が噴出。今後のイスラエルとオーストラリアの関係を懸念する声も高まっている。
野党や、親パレスチナ勢は、これは、「オーストラリア市民に対するテロ事件というべきだ。だから、オーストラリアにあってはならないことなのだ」として、反ユダヤ主義だからよくないのではないと、反発している。
なお、オーストラリアでは、シドニーなどで、反イスラエル、親パレスチナデモが毎週、行われている。