ミサイル直撃の現場から 2012.11.16 04:40(日本時間11:40)

キリアット・マラキの被害現場に行ってきた。ミサイルは4階建てのアパートの最上階を直撃し、3階に突き抜けていた。ミサイルから飛び出す無数の金属片が、壁を穴だらけにしている。リビングルーム、台所、ほんのさっきまで普通の日常だったその場所が爆風で戦場のようになっている。

子ども部屋の前の廊下にはまだ血痕が残っていた。普通の日常ある一瞬。その一瞬に2人の人の命がなくなってしまった。この家で負傷した子どもは重傷である。

アパートは、被害者の遺体などの処理をするツダカとよばれるユダヤ教の処理班とジャーナリストでごったがえしていた。かろうじて難を逃れた2階の男性はそうした人々の出入りをたばこを吸いながら戸口に立って眺めていた。その顔にはいいようのない「暗さ」があり、ジャーナリストの質問にはほとんど答えず、背をむけて部屋にゆっくりと入っていった。

その破壊された真横のアパートでは、人が今日もかわらず洗濯物を干していた。こうしたことが日常になっているこの地域の人々の姿である。

現場は関係者と、見物にきた近所の人々でごったがえしていたが、キリアット・マラキ、アシュケロンでは、今日もシェルターで過ごすようにとの指示で、町には人影はかなり少なかった。店もほとんどが閉じていた。ガザから半径40キロ圏内の都市では明日も学校は休み。

<住民の声>

イスラエル軍の作戦で、さらにミサイル攻撃が増えたわけだが、住民らは口々にイスラエル軍の作戦を支持しているという。17才のパズさんは、「生まれた時からミサイル攻撃が日常になっている。今回で終わりにしてほしい。」と語った。

アシュケロンに40年以上住んでいるブラッハさんは、今日ベエルシェバの職場へ出勤できなかった。「ハマスがなぜこんなことをするのかわからない。昔はガザの人たちがアシュケロンに買い物に来ていたのに・・。」と葛藤を語った。

*迎撃ミサイルは、よく奮闘しているが、100%ではない上、非常に高価である。もし空き地に落ちると計算された場合、迎撃しない。そのため、道路や屋外にいることが危険なのである。ブラッハさんが仕事に行けなかったのはそのため。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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