ボンダイ・ビーチの銃撃テロで犯人を止めようとしたイスラエル人危篤 2025.12.21

Gefen Bitton (Courtesy)

もう一人のヒーローはイスラエル人:重傷で危篤

at Bondi Beach, in Sydney, December 20, 2025. (David Gray / AFP)

12月21日(日)、シドニーのボンダイ・ビーチで、ハヌカを祝っていたユダヤ人1000人以上の人々に向かっての銃撃テロが発生してから1週間になる。

オーストラリアでは、本日、犠牲者を思い、ろうそくをともして、1分間の黙祷が予定されている。

犠牲者は、10歳少女から87歳のホロコーストサバイバーまで様々な世代のユダヤ人14人である。(死者15人目は、犯行中に警察に殺害されたテロリスト2人のうちの父親サジド・アクラム(50))

www.timesofisrael.com/youngest-oldest-victims-of-sydney-hanukkah-attack-remembered-in-tearful-funerals/

St George Hospital in Sydney. (Handout/ NSW Premier’s Department/AFP)

このテロ事件では、テロリストに飛びかかって、反抗を阻止しようとして、重傷を負ったイスラム教徒のアフマド・アル・アフマドさん(43)が世界中の注目を浴びて、賞賛され、最終的に、165万ドル(約2億6000万円)の支援金を受け取った。

この時、同時にこのテロリストを阻止しようと駆けつけていた赤い服の男性が写っていたが、数年前にオーストラリアへ移住していたイスラエル人のゲフェン・ビットンさん(30)であることがわかった。

ゲフェンさんと一緒にいた友人たちが、このクリップを見て発見したとのこと。襲撃当時、ゲフェンさんは銃撃からは逃れていたのに、犯人を発見して飛び出していったという。

その後、ゲフェンさんは、自分が負傷したと妹に電話をかけていたが、どうなったかわからなくなっていた。その後、家族たちは、シドニーのセント・ビンセント病院でゲフェンさんを発見した。

ゲフェンさんは3発の銃撃を受けており、何度か手術を受けたが、今危篤状態に陥っている。回復への祈りが必要である。

なお、ゲフェンさんのためにも今、Gofund meでの支援金の受付が始まっている。(以下サイト)

www.gofundme.com/f/gefen-our-hero-of-bondi

www.timesofisrael.com/israeli-gefen-bitton-in-critical-condition-after-confronting-bondi-beach-terrorist/

www.ynetnews.com/article/hyfxmmvxwl#autoplay

この1週間の間に、犠牲者すべての葬儀が行われたが、あまりの不条理に、オーストラリアはじめ、世界のユダヤ人が、反ユダヤ主義の深さ、深刻さを改めて自覚し始めている。

テロリストはISIS(イスラム国)の影響を受けたインド出身の父息子

オーストラリア政府によると、今回のテロリスト、サジド・アクラム(父50)は、ナヴィード(息子24)は、ISIS(イスラム国)のイデオロギーに基づいて、犯行に及んだと見られている。

その車に、黒いイスラム国の旗が発見された他、犯行一月前の11月にISISの拠点があるとみられているフィリピン南部で約ひと月を過ごしていた。また息子のナヴィードは、2019年に、ISIS関係者とのつながりで捜査されたが、危険はないと判断されていた。

サジド・アクラムは、インド出身で、1998年にオーストラリアへ出稼ぎに来て、オーストラリアで結婚。その後生まれたナヴィードと娘は、オーストラリア国籍だった。サジドは、オーストラリアから6丁の銃を持つ正式な許可を得ていた。

www.nytimes.com/live/2025/12/15/world/bondi-beach-shooting-gunmen-isis#bondi-beach-shooting-gunmen-isis

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。