2016年3月、ヘブロンですでに瀕死の重傷となって倒れているテロリストを銃で撃ち、死亡させたとして、軍法会議に掛けられていたエロール・アザリヤ軍曹の軍法会議での最終判決が出た。無実の可能性もある中、判決は、故殺罪で懲役18ヶ月である。
*故殺罪:殺人罪の一種だが、逆上などでの突発的な殺人で、計画性はないものをさす。若干、殺人罪より軽い。
イスラエル世論は、多くが息子たちを戦場に送り出していることもあり、戦場にいる自国の兵士を裁くのは、敵と味方を混同しているとして、無実と考える意見が多数派であった。
しかし、自爆の恐れがあったとするアザリア軍曹の主張は証明できず、「テロリストは、すでに瀕死であり、とどめをさす必要はなかった。これは”武器の聖さ”(必要時のみ武器を使用する)を重んじるイスラエル軍の軍規に反する。」という軍の主張が通った形である。
懲役18ヶ月ということはかなり減刑された求刑であり、エイセンコット参謀総長は、最高裁への控訴はするべきでないと言っている。しかし、アザリヤ軍曹の家族は、控訴する構えである。
アザリア軍曹の行為は、確かに軍法に違反するのであろうが、これで現場の兵士たちが、銃を使う時に一呼吸置いてしまい、危険にさらされるということも懸念されている。イスラエルが抱えるジレンマである。
www.timesofisrael.com/military-court-upholds-conviction-18-month-sentence-for-hebron-shooter/
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