ブリュッセルの自爆テロで31人(現時点)が犠牲となった事件。日本人2人の負傷を含む約260人が負傷している。犠牲者は損傷が激しいのか、なかなか身元が判明しないようである。
犯人とみられる3人のうち、一人はまだ逃亡中で、いつ自爆をするかもわからない。先にドイツ政府が入手したとする資料によると、シリアへ渡航して帰国した者のリストの人数は22000人だった。信頼できる数字かどうかは別にしても、相当な数の人間が自爆テロ予備軍である可能性がある。
ヨーロッパでもアメリカでも、いつどこで自爆テロが発生するかわからないという、危険きわまりない事態となった。ヨーロッパやアメリカは、今、空港はじめ、町でも警戒態勢をかなりのレベルに上げている。
ブリュッセルのユダヤ人コミュニティでは、警察の要請に基づき、今年のプリムの例祭をキャンセルすることを決めた。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4782174,00.html
<イスラエル並みの警護:ブリュッセル>
BBCによると、ブリュッセルでは、地下鉄の入り口で警備員が、一人一人、荷物チェックを行っているため、長い列になっている。イスラエルではスーパーの入り口でもやっている、当たり前のセキュリティチェックである。
また町には軍服を着て銃を持つ兵士らの姿が目立つようになっている。これもイスラエルでは日常である。
さらには、大きなテロが発生した後だが、町は日常が戻り始めている。町行く人々は、「テロがいつどこで発生するかわからない、次は自分かもわからないが、日常生活を止めるわけにはいかない。」と語っている。
ネタニヤフ首相は、23日夜、記者会見において、テロに正義は一切ないと非難すると同時に、「ブリュッセルの人々がテロには屈しないと叫んでいる様子に、イスラエル市民を見た。これらはイスラエルが長年経験して来たことだ。」と語った。
<イスラエルにアドバイス求める世界>
こうした事態となり、”テロ対策のプロ”イスラエルに相談する国々が出て来ているようである。ネタニヤフ首相が昨夜行った記者会見では、すでに、国々がイスラエルにアプローチしているという。
またテロが多発しているエルサレムのバルカット市長には、アメリカのCNBCが、テロ対策の”先輩”として、今何をするべきと思うかと聞くインタビューを行った。
インタビューアーは、これほどテロが発生しているのに、国際マラソン大会を予定通り実施し、プリムの例祭も中止しないエルサレム市に驚いているようだった。
バルカット市長があげたのは、諜報活動の徹底だった。基本姿勢として、守るだけではなく、積極的に”悪者”を探し出し、摘発することだという。つまり常に先手をうつこと。
しかし、注意しなければならないのは、”悪者”が普通の人々の間にいることである。摘発する時には普通の人を巻き添えにしないようにしなければならない。
諜報活動のレベルをあげ、確実に”悪者”だけを未然に探し出す事が大事。テロリストに哀れみをもってはならない。あとで必ずこちらが犠牲として支払うことになる。また背後で、資金を調達しているシステムの摘発も重要だ。
次に、すぐにでも公共交通機関を再開し、あと片付けをただちに行って、できるだけ早く生活を元にもどすこと。
*エルサレムでは、死者が出るようなテロが発生しても、車両やレストランの爆破など大きな破損がない場合、おそらく30分以内には、現場はすっかりあとかたもなくなって、普通の状態に戻っている。
観光客が、「危ないと思って来たが以外に平和だった。」と言われるが、それは、イスラエルではなにかがあっても、非常にすみやかに片付けてしまうということも知っていておいた方がよいだろう。
「世界の空港もベングリオン空港並みのセキュリティにするべきと思うか。」との問いに、バルカット市長は、「単純なことではないが、”経験者”として私たちが学んできたことを、世界にも分かち合いたいと願っている。」と締めくくっている。
www.facebook.com/nir.barkat/?fref=nf
<テロは絶望からではなく”希望”から:ネタニヤフ首相>
ネタニヤフ首相は、「テロはどこで発生しても基本的に同じだ。今のテロは、「絶望」からくるものではない。カリフ国家であるイスラム国がやがては世界を統一するという「希望」をもってやっている。
そのため、パリ、ブリュッセル・・・どこまでやっても、満足しない。イスラム帝国が世界を制覇するまで続く。しかし、それは決して達成することはない。私たちが一つになれば、テロ勢力を早く撃退することができる。」と一致の必要性を訴えた。
www.jpost.com/Israel-News/Netanyahu-Multiple-countries-look-to-Israel-to-defeat-terror-449009
なお、この記事を書いている時に、シリア国営放送の情報として、シリア政府軍が、ロシアの空爆に助けられ、ISISよりUNESCOの遺跡があるパルミラに入ったとのニュースが入った。
領地を失えば失うほど、シリア外でのISISによるテロに拍車がかかるかもしれず、また同様にISISを攻撃しているからといって世界がアサド大統領と手をくむわけにもいかず、なかなか事は複雑である。。。
<イスラエルでのテロ状況>
エルサレム市内では、すべてのバス停周辺に鉄棒を並べて車が突っ込んでくることにないようにする他、主要なバス停には、武器を持った警備員がにらみをきかせている。
それでも完全に防げるわけではないが、エルサレム周辺でのテロは、ほとんどが西岸地区で、しかも民間人ではなく国境警備員やイスラエル兵など民間人以外が狙われるケースがほとんどである。
ここ2日ほどテロのニュースがなかったが、23日夜、ヘブロンで、イスラエル兵が、パレスチナ人2人に刺された。刺した2人はその場で射殺された。
www.jpost.com/Breaking-News/Initial-report-Israeli-wounded-in-stabbing-attack-near-Hebron-449072
<エルサレムのプリムは明日金曜>
エルサレム以外の町では、24日の今日、仮装パレードなど、様々なプリムのイベントが行われている。エルサレムだけは明日25日。エルサレムでも群衆が、仮装して町に出る。西岸地区からイスラエルへの検問所は現在、閉鎖されている。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4782712,00.html
明日25日金曜は、キリスト受難の日で、キリスト教徒の大群衆が、旧市街内を十字架などをもって行進する。日曜は、イースターで、カトリックも東方教会も、プロテスタントも多くはエルサレム市内で集まって集会を行う。
今週、治安部隊には、なかなか忙しい週末となりそうである。