フランス大統領選挙で緊張するユダヤ人 2017.4.26

フランスの大統領選挙が行われ、無所属・中道派マフロン氏と、極右の国民戦線党のルペン氏が上位2位となり、5月7日の決選投票に臨むこととなった。

ルペン氏は、その後、国民戦線党の党首を一時降りると発表した。右派でけでなく、フランス市民すべてを代表するとのジェスチャーである。しかし、ルペン氏自身が移民排斥とEU離脱を支持する極右であることに変わりはない。

フランスでは、すでに反ユダヤ主義事件が増加しているが、国粋主義者のルペン氏が大統領になると、その傾向はさらに悪化する可能性が高い。

ルペン氏は、大統領になった際には、公共の場でユダヤ人がキッパをつける事を禁じることや、フランス在住のユダヤ人は、イスラエルとの二重国籍を認めない、つまり、イスラエル人であることを放棄しなければならない、などの方針を語っているという。

www.jpost.com/Diaspora/Le-Pen-If-elected-French-Jews-will-have-to-renounce-Israeli-citizenship-481140

また、ルペン氏は、ホロコーストに関して、フランスに責任はないと主張する。しかし、フランスは、ナチにユダヤ人を引き渡しているので、責任はないとは決して言えないはずである。

イスラエルのリブリン大統領は、ホロコースト記念式典のスピーチにおいて、公にルペン氏を非難した。

www.timesofisrael.com/blasting-le-pen-rivlin-calls-for-war-on-new-kind-of-holocaust-denial/

現在のヨーロッパは、ヒトラーが登場した30年代に似てきたと言われる。ホロコーストの初期、一部のユダヤ人はヨーロッパから脱出した。しかし、多くのユダヤ人たちは、だんだん迫害が悪化する中でも、まさか事態がそこまで悪化するとは思わず、「この嵐はもうすぐすぎる。」と考えて脱出しなかった。それで虐殺されてしまったのである。

ロシアのチーフラビは、「万が一、ルペン氏が大統領になったら、フランスのユダヤ人はすぐに脱出すべきだ。」と警告した。

www.jpost.com/Diaspora/Russian-chief-rabbi-Frances-Jews-should-leave-if-Le-Pen-wins-election-488687

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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