3日、延期になっていた中東和平カンファレンスがパリで行われた。カンファレンスには、ケリー国務長官とバン・キ・ムン国連総長をはじめ、EU加盟国代表、アラブ連盟代表も出席しての国際会議で、当事者のイスラエルとパレスチナ代表は不在だった。
このフランスの和平推進案には、パレスチナのアッバス議長は歓迎したものの、イスラエルのネタニヤフ首相は、「これは当事者同士の解決以外に道はない。」と頭から拒否していたからである。
つまり、どうしてもけんかをやめない2人をどうしたらよいだろうかと、村の長老たちが頭を抱えて話し合った、という形である。
カンファレンス後の共同声明では、イスラエルとパレスチナの問題は、2国家2民族以外にありえないということで合意。両者の間で暴力が続いていることから、いつまでも現状維持が続くわけではないとの危機感を共有した。年度末にはまた会議を開く予定ということで閉幕となった。
フランスでの国際会議は、パリが大雨で洪水被害も深刻になる中で行われた上、イスラエルが、エルサレム統一記念日(カンファレンスではエルサレム分割も視野)を祝う時期と同時進行で行われたた。
そのため、イスラエルでは、「フツパン(利己主義の大バカもの)」といった言葉で伝えた記事もあった。一方で、「世界がこれほど心配してくれるような機会は、もう二度とないかもしれない。」といった意見の記事もあった。
これと平行してすすめられているエジプトを中心とするアラブ諸国からの和平案だが、ネタニヤフ首相が、取引の内容を変更することを要請したところ、断られたため、こちらも結局座礁か・・という感じである。
しかし、そうなると、もう解決はどこにもないということになり、それはそれで、よろしくない状況でもある。ここはまさにメシアが来るまでもめ続けることになるという絵図である。
<世界の嫌われ者イスラエル:ヒトラーの「我が闘争」がベストセラーへ>
今回、安保理は、イスラエルのテロ被害を認めてテロリストを非難する決議案を出したのだが、これは何ヶ月も続くテロの波が始まってから実に初めてのことであった。
通常は、イスラエルがテロの被害にあうのは、イスラエルが、西岸地区の入植地拡大を続けていることが問題の根源にある、つまりはイスラエルが悪い、という見方が一般的なので、非難決議にはいたらないのである。
また今回、イスラエルが国際社会全部がすすめる和平案を、頭から拒否していることもあり、この会議での歴史的な解決にはいたらなかった。(とはいえ、国際会議で解決するとも考えにくいが。。。)やはりイスラエルという国はややこしいと思われてもしかたがないだろう。
余談になるが、最近、ヨーロッパでは、ヒトラーの「我が闘争」が今、ベストセラーになっているという。ヒトラー没後70年となり、著作権制限がはずれたことで、様々な解説つきの同書が発売され、ベストセラーになったのである。歴史家は「この本を一般人が読むのは危険だ。」と警告している。
聖書では、地上に最後のときが来る直前に、世界中がイスラエルに向って戦いを挑んで来ることが記されている。その気配はやはり年々現実的になりつつあるようだ。
・・・わたしは、すべての国々を集めて、エルサレムを攻めさせる。町は取られ、家々は略奪され、婦女は犯される。町の半分は、捕囚となって出て行く。しかし、残りの民は町から断ち滅ぼされない。主が出て来られる。決戦の日に戦うように、それらの国々と戦われる。その日、主の足は、エルサレムの東に面するオリーブ山の上に立つ。(聖書・エゼキエル書14:2−3)