ヒズボラのロケット弾40発・イスラエル人夫妻死亡:ヒズボラ司令官暗殺の後 2024.7.13

ヒズボラのナスララ党首は、今のイスラエルへの攻撃は、イスラエルと戦うハマスを支援するためであって、もし停戦が成立すれば、イスラエルへの攻撃は停止すると表明している。

しかし、ガザが停戦にならないので、北部での攻撃の応酬も終わらないばかりか、双方に死者が出る形で、エスカレートが続いている。

先週、イスラエルが南レバノンでヒズボラの高官を殺害すると、ヒズボラは、ロケット弾200発、ドローン20機を発射し、イスラエル兵1人が死亡した。

ヒズボラとの攻撃の応酬:ミサイル直撃でイスラエル人夫妻とイスラエル兵1人死亡

これに対し、イスラエルは9日、ヒズボラ高官であるヤセル・カルナバシュ(ヒズボラ死者364人目)を、ダマスカスからベイルートに向かう道中で暗殺した。

すると、その数時間後に、ヒズボラは、再び、ゴラン高原のイスラエル軍基地にむけて、カチューシャ・ロケット40発を発射した。

そのうちの1発が、91号線を走っていた車両を直撃し、乗っていたイスラエル人夫婦2人が死亡した。ヒズボラは、ヤセル暗殺への応酬だとの声明を出した。

死亡した夫妻は、キブツ・オータルに住むノアとニール・バラネスさん(2人とも46歳)で、家に戻る道中だった。パラネス夫妻の子供たち3人は、一瞬で両親を失うことになった。

イスラエルは、直ちにロケット弾が発射された南レバノンのカブリカへ反撃。加えてヒズボラのインフラ2箇所も破壊した。

www.timesofisrael.com/two-civilians-killed-in-hezbollah-rocket-attack-on-golan-heights/

すると今度はヒズボラが、11日、西ガリラヤ地方のキブツ・カブリに爆発物を搭載したドローンを発射。

車や家屋が被害を受けた他、予備役兵のバレリ・チェフォノヴ第一軍曹(33)が重傷を負い、翌日死亡した。

www.timesofisrael.com/man-critically-hurt-as-hezbollah-launches-wave-of-drone-attacks-on-northern-israel/

ヒズボラがイスラエルの上空からの映像を公開:技術力を誇示

ヒズボラは6月、ハイファ港の上空からの映像を公開し、イスラエル軍の情報はその手のうちにあることを誇示したが、9日、再び、ゴラン高原上空からイスラエル軍拠点を撮影したプロパガンダ映像を公開した。映像は、「これが次の段階だ」とのコメントで終わっている。

ヒズボラのナスララ党首は、イスラエルとハマスが、停戦で合意すれば、ヒズボラも攻撃を止めると言っているが、国連での合意であるリタニ川まで撤退するとは言っていない。

国境ギリギリにまでヒズボラが存在する状況で、北部国境近の住民6万人が安心して住むことは不可能である。

以前、ブリンケン米国務長官は、北部国境地域は実質ヒズボラに占領されたも同様だと言っていた。今回また、市民2人と兵士1人を殺された。イスラエルはどう出るのか。非常に難しい状況である。

www.timesofisrael.com/for-second-time-hezbollah-publishes-drone-footage-of-military-sites-in-northern-israel/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。