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ヒズボラとの睨み合い
北部情勢がエスカレートする中、イスラエルはヒズボラとの戦闘に備える動きを見せている。
一方、18日、ヒズボラのナスララ党首が、キプロスへの攻撃も含めたイスラエルとの戦闘を示唆したことから、イスラエル北部での全面戦争に発展することが懸念されている。
ヒズボラは、イスラエルに向けて15万発のミサイルをすでに準備済みで、それを全部迎撃することは、不可能である。
イスラエルは、ヒズボラが、大量のミサイルを撃ち込んでくる前に、その兆候が見え始めたら、レバノン南部への総攻撃を行うだろう。
また、イスラエルでは、6万人に北部住民が、8ヶ月以上になる今もまだ避難先のホテルなどに滞在しており、もう限界に近づき始めている。
なんとしてもヒズボラを、安全レベルとされるリタニ川以北(国境から30キロ)へ押し返さなければならない。カッツ外相によると、外交的な解決の窓は閉まりつつある。
レバノン南部の住民も、イスラエル北部住民と同様、10月7日以降、避難を余儀なくされている。
しかし、この地域へのイスラエルの総攻撃は、いまだかつてないレベルと予想されており、国連のグテーレス事務総長は、レバノン南部が第二のガザになった時は、壮絶な大惨事になると警告を出した。
こうした事態を受け、カナダは、レバノン在住のカナダ市民4万5000人をレバノンから救出する計画を、イスラエルのカッツ外相と話し合ったと地元メディアが報じている。
無論、ヒズボラもイスラエルも、この事態は望むところではない。
ナスララ投手は、ヒズボラがイスラエルを攻撃するのは、ガザのハマスを支援することが目的であると強調。
イスラエルとの直接的な全面戦争は望まないとは言っているが、同時にそうなった場合は、戦う意思を明らかにしている。
北部では、19日に、イスラエル軍のドローンにより、ヒズボラの戦闘指揮官、アッバス・イブラヒム・ハムザ・ハマダが死亡。
その後、イスラエル南部に、計25発のロケット弾が発射されたが、イスラエル側に被害はなかった。イスラエル軍は、アッバスがイスラエルへの攻撃を準備していたと主張している。
その後も、レバノンからのロケット弾が北部国境付近へ初規模ながら続いている。これに対し、イスラエルは、タイヤ近くのヒスボラの武器庫を攻撃。ヒズボラ戦闘員5人が死亡したとのこと。
このレベルの攻撃の応酬は、これまでと同レベルであり、大きな戦闘には発展していない。確かに全面戦争は、どちらにとっても良いことはひとつもない。このまま下火になり、現状維持の状態に戻る可能性はあるが、油断はできない状態である。
シリアでの衝突
イスラエルとレバノン、ヨルダンとも国境を接するシリアは、イランからヒズボラへの武器供給拠点となっている。
特に6月に入ってから、イスラエルは、ヒズボラとの直接対決に備え、シリアのヒズボラ勢力、イラン勢力への攻撃を強化している。攻撃対象は主に、軍事拠点、武器庫、重要司令官である。
シリア国営放送によると、イスラエルは19日にも、シリア南部クネイトラとダラアの軍事拠点や武器庫へ、ドローンによる攻撃を実施したとみられている。