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10日、ラマラ近郊で、入植地に反対するデモを行っていたパレスチナ人と、それを止めようとしたイスラエル軍兵士たちがもみあいになった。この直後、デモを導いていたパレスチナ自治政府閣僚のジアド・アブ・エイン氏(55)が、突然座り込み、病院に搬送されてそのまま死亡した。
パレスチナ人たちは、当初、イスラエルの催涙弾が原因だと主張。アッバス議長は11日のうちに「イスラエルの犯罪だ。イスラエルとの治安維持協力を保留にすると表明するに至った。
一連の様子はビデオに撮影されていたが、前後がなく、催涙弾が使われたかどうかなどの状況はわかりにくい。また、エイン氏が座り込んだ時に左胸部に手を置いていることなどから、持病から来る心臓発作が原因である可能性も否定できなかった。
そこで、昨夜、イスラエルとパレスチナの専門家に、ヨルダンの専門家が立ち会って、死因解明のための解剖が行われた。結果、「兵士ともみあいになって、首をつかまれた時のショックで、心臓発作を起こした」との見解で一致した。
しかし、その心臓発作の原因について、パレスチナ側は、「イスラエル軍兵士に首をつかまれたことが誘因」とイスラエルの責任を強調する形で報告。一方、イスラエルは、「すでに80%閉塞していたエイン氏の冠動脈が、ストレスを受けて閉塞した。」と、すでに疾患があったという点を、明確にする形での発表を行った。
ところで、エイン氏らが行っていたデモは、投石などの暴力的行為ではなかったようである。イスラエル人の入植地に抗議するため、前哨地(Outpost)と呼ばれる開拓前状態の場所(たいていは違法)付近に、「パレスチナ人の土地にパレスチナ人が木を植える」と訴えて、木を植えようとしていたのである。
どういうわけで、治安部隊ともみあいになったのか、今後、イスラエルは、綿密な調査を行うと言っている。しかし、パレスチナ人たちは納得していない。「これは入植地を広げる占領政策の犯罪だ。」「ひどいテロ軍隊だ。」と叫んだ。こうなると、なにがなんでも暴動の理由になるといわざるをえない。
11日、ラマラでは、数千人の群衆が参列する中、エイン氏の葬儀が行われた。とりあえず落ち着いていた暴動が再燃する可能性が懸念されたため、イスラエルはラマラに最も近いエルサレムのユダヤ人地区周辺に治安部隊を配備した。幸い、暴動にならずに葬儀が終わったようである。
現在、イスラエルとパレスチナの間には正式なコミュニケーションがない。昨年、全力で和平交渉をすすめたあげく、失敗に終わったケリー国務長官も、今はさじをなげた形である。
しかし、このままでは、どうにもならない。パレスチナ人との関係をなんとかしなければならないということは、イスラエル人ならだれでも感じている点である。これからの方針を決める総選挙が間もなく行われるのも、いわばタイムリーな国民投票ということのようである。