目次
パレスチナ人のワクチン事情
パレスチナ自治政府は、12日、24時間の感染者が1587人、死者が27人と急増したことをうけて、5日間のロックダウンを宣言した。住民は、居住地区から出ることができなくなっている。
パレスチナ自治区での現在の発症者は2万733人。うち重症者は170人。ハアレツ紙によると、パレスチナの保健省は、感染者は先週から38%増、死者は61%増で、病院は、崩壊寸前とのこと。
WHOによると、パレスチナ人の人口は西岸地区、ガザ地区合わせて約500万人。このうち感染者累計は23万6500人。死者は2500人となっている。(死亡率1.1%)
パレスチナ自治政府は、独自の交渉で、総人口の70%分のワクチンを確保したと言っていたが、実際に搬入されたのは、ロシア製ワクチンが1万人分で、このうち2000人分がガザへ送られた。
イスラエルからは先に2000回分、後に3000回分が搬送される予定である。国連のCOVAXが、必要量の20%をカバーすることになっている。内訳は、アストラエゼネカが24万回分。ファイザーから3万7440回分とのことだが、これらはまだ搬入されていない。
イスラエル領内で働くパレスチナ人へのワクチン接種開始:1日1000人
イスラエルは、8日、ワクチン・センターが8箇所の検問所に開設し、西岸地区のユダヤ人入植地で働くパレスチナ人や、イスラエル国内で働くパレスチナ人へのワクチンの接種を、1日1000人の規模で開始した。
この後、西岸地区入植地の工場地帯4箇所にもセンターが設置され、そこでもワクチンの接種が始まっている。
最終的には12万2000人がワクチンを受ける予定である。担当は、イスラエルで、パレスチナ人地域との実際の協力を担当するイスラエル軍のCOGATと救急隊マーゲン・ダビッド・アドン。
日ごろ、敵対するイスラエルからワクチン接種を受けるとなると、どこまで信用しているのかと思われるが、接種を受けたパレスチナ人は、いずれも感謝しているもようである。逆にパレスチナのワクチンは信用できないが、イスラエルのは信用すると言っている人もいる。
イスラエルが、ロックダウンしていた間、イスラエルで働くパレスチナ人は、パレスチナ側の自宅へ戻ることができず、工場で寝泊まりしていた人もいた。今は家に帰れると笑顔を見せている。
しかし、イスラエルのワクチンを受ける12万2000人は、パレスチナ全人口の、極わずかに過ぎない。今後も続く大きな課題である。