イスラエルのメディアでここ数日ずっと取り上げら得ている国内問題がある。以下のような流れである。
ガザに近いネゲブ地方にある、イスラエル軍の拘置所スデ・テイマン。そこから釈放されたパレスチナ人たちが、イスラエル兵たちに、性的暴力や拷問などで虐待されたと訴え、問題になっていた。
その証拠映像となるクリップが、昨年7月、ネット上に流れた。映像には、拘束中のパレスチナ人を床に並べる中、1人を連れ出して性的暴力を振るっている様子が写っている。
このクリップのリークを、当時、軍事弁護人イファット・トメル・イェルシャルミが許可していたことがわかり、反政府のプロパガンダだとして問題となった。
イェルシャルミは、11月2日(日)、リークを許可したことを認め、責任をとって、職務を辞任した。その後、数時間の間行方がわからなくなり、ビーチで空になった同氏の車が見つかって自殺も懸念されたが、数時間後に生存が確認され、逮捕された。
証拠となりうる携帯電話がなくなっており、調査妨害の疑いも加わって、今もまだ留置所にいる。さらに、その後、元主席軍事検察官マタン・ソロモシュ大佐が、調査妨害を手助けした疑いで逮捕された。
イエルシャルミ元IDF弁護士とソロモシュ元大佐の動きは、政府はもとより、右派たちの怒りを買う結果になった。パレスチナ人に有利な証拠を出して、国に損害を与えたからである。
ここ数年の間、イスラエルでは、左派に傾きがちな司法と、右派に傾きがちな政府の間で、深刻な対立になっている。政府は、ガリ・バハラブ・ミアラ司法長官を解雇しようとしたが、司法がこれを認めず、ミアラ氏は今も司法長官である。
こうした中、ミアラ司法長官は、イエルシャルミ元IDF弁護士の一件は、もはや調査はし尽くしたとして、調査の必要はないと主張したが、政府はこれを認めず、イエルシャルミ元IDF弁護士を逮捕。今も勾留している。
今後どうなるのかはわからないが、イスラエル国内でも右派と左派、司法と政府の亀裂と衝突が続いているということである。
石のひとりごと
ガザだけでなく、イスラエルの刑務所でも虐待がないとは言えないだろう。
この騒ぎの中で、ロン・ブラスラヴスキーさんが、ガザで経験した恐ろしい虐待を表明したのだが、双方ともに、人間の罪の現実は明らかである。
