今回の誘拐事件について、ヘブロンの一般のパレスチナ人に聞いたところ、「イスラエルが、パレスチナの囚人を裁判もなく監禁しているからだ。」と言った。
パレスチナ人の間では、今、この囚人の問題が、一番の関心事であり、火薬庫なのである。
しかし、たとえばイスラエル人の走行車両に大きな岩石を投げつけることは、れっきとした殺人未遂である。実際にパレスチナ人の投石で、死亡や重傷に至ったケースもある。イスラエルは、たとえ12才の少年でも、犯行が認められれば逮捕する。
その点について、パレスチナ人は、イスラエルの”占領”が悪いからだという事で、すべて正当化する。そのため、子供のしたことは完全に棚に上げ、イスラエルは子供を逮捕している!という事になるのである。(未成年については、通常は短期で釈放されている)
パレスチナ人らは、囚人の家族を中心に、釈放を求めてデモ活動を行う一方、囚人たち自身も、刑務所内部でハンガーストライキを行って釈放を要求する。この4月から、75人の囚人が、ハンガーストライキ(断食)を行い、病院に収容されるほど衰弱してきた。
イスラエルは、囚人たちとの交渉をすすめるとともに、「強制的に食べさせる」法律の審議に入った。次の審議で可決するという数日前の今週、なんらかの交渉が成立し、囚人は断食を停止する事で合意したところである。パレスチナ人はこれを勝利と見ている。
<パレスチナ囚人の”給料”>
こうしてみると、いかにもイスラエルの刑務所が悪いようにみえるが、実は囚人たちには、イスラエルに捕まることで益を得ているという一面がある。
イスラエルに捕まった囚人は、パレスチナ社会で英雄視されるだけでなく、パレスチナ自治政府から、給料を受け取っているのである。イスラエルは送金の関係で、その事実を把握している。
それによると、刑務所に入ったパレスチナ人は、まず、刑務所内部での”生活費”として400シェケル/月をもれなく受け取る。
日本の刑務所と違って、イスラエルでは、囚人がお菓子やタバコ、電話のカードなどを購入する店がある。確かにかなり狭いところに大勢の男たちと一緒に監禁されることは苦痛きわまりないことだろうが、日本の刑務所よりは、はるかに自由である。
さらに給料がある。イスラエルのベネット・ユダヤの家党首が公表したところによると、給料は、最低賃金が月1400シェケル(4万円)で、拘束が長くなるほどに額がアップしていく。最大は3500ドル(35万円)である。
さらに一時金として2万5000ドル(250万円)から最大5万ドル(500万円)を受け取っている。いったんイスラエルの刑務所に入って数年すごせば、家が建つというわけである。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/182156#.U60cjqW9DCs
パレスチナ自治政府は、資金がないといいながら、囚人への送金は怠っていない。おそらく、イランなどから、その目的で送金されているのかもしれないが、これでは、イスラエルへのテロを奨励しているようなものである。
<人を憎む・人に憎まれる悲しみ>
イスラエル人の中には、神殿の丘で祈りたいと願うグループがいる。彼らは時々、神殿の丘へあがり、パレスチナ人たちから憎しみの言葉と石をなげつけられる。
以下のビデオをみると、小さな子供たち、老人までが、「アラーは偉大だ」と叫びながら、怒りを表している。これを見ると泣けてくる。
神殿の丘で祈りたいとして上がって行く人々は、ある程度、覚悟ができているかもしれないが、そのグループを守らなければならないイスラエル兵や警察官たちの心と霊に対する影響が懸念される。
また、憎しみはパレスチナ人たちの心だけでなく、その生活さえも蝕んでいるはずである。このビデオを見てとりなしに覚えていただきたい。
彼はまたのろうことを愛したので、それが自分に返ってきました。祝福することを喜ばなかったので、それは彼から遠く離れました。(聖書:詩編109:17)