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バイデン大統領到着
バイデン大統領は、予定通り昨日午前10時ごろ(日本時間午後5時ごろ)、テルアビブのベン・グリオン空港に到着。ネタニヤフ首相とヘルツォグ大統領が出迎えた。
まさに戦争中にイスラエルを訪問したアメリカの大統領は、バイデン大統領が初めてとなった。ネタニヤフ首相が、バイデン大統領を招いてから数日もたたないうちに、実際に訪問を決行したバイデン大統領の行動力に、多くのイスラエル人は励まされていた。
バイデン大統領は、ブリンケン国務長官を伴って、到着後まず、テルアビブの防衛省で、ネタニヤフ首相、ダーマー戦略相、ハネグビ国家治安委員会長官と会談。まずは、ガザの病院爆発の大惨事は、イスラエルによるものでなく、別の組織による誤爆であるとの認識を明らかにした。
その後、ブリンケン国務長官とサリバン国家治安顧問が合流。イスラエルからは、上記、ダーマー氏、ハネグビ氏に加えて、ギャラント防衛相、ガンツ氏、エイセンコット氏、アリエ・デリ氏などが加わって、拡大治安閣議が行われた。
また、バイデン大統領は、その後、国会の戦時内閣の閣僚たちと会談。励ましを述べた後、テルアビブで、救急隊や、遺体処理班ZAKAのメンバーと会談。
イスラエル人医師の中には、医療の人種は関係ないとして、ガザでは負傷者がいるのに、医薬品もなく放置されている人がいると訴え、バイデン大統領にガザへの医療支援を訴えた人もいた。
ハマスに家族を殺された人々や、拉致されてる人々の家族たちとも会談。その中には、ガザからの侵入者に20時間、囚われたが、食べ物を出して対話して助かった女性とも会談した。
ガザからの侵入者は2000人以上と言われているが、その中には、本格的な武装ハマスだけでなく、まだ戦闘になれていないような若者も含まれていたという情報もある。
Biden hugs Rachel Edri, an Israeli woman who was held hostage at gunpoint in her home for 20 hours and used food and conversation to keep her capturers calm until she could be rescued. pic.twitter.com/ub5TUogQez
— Peter Baker (@peterbakernyt) October 18, 2023
ガザの病院での爆発事件を受けて、ヨルダン、エジプト、パレスチナ自治政府の首脳はイスラエルを非難するとともに、バイデン大統領の訪問を延期と発表したことから、バイデン大統領は、イスラエルに7時間半滞在した後、エアフォースワンで再びホワイトハウスへと戻っていった。しかし、エジプトのシシ大統領とは電話で話をしていたもようである。
バイデン大統領は、帰国後、この問題とウクライナ問題に関するメッセージをホワイトハウスから、公式に発表することになっている。
バイデン大統領が出発するとまもなく、イスラエル南北で、ロケット攻撃があり、サイレンがなり響いた。
バイデン大統領訪問のメッセージ:イスラエルへのコミットと二国家解決の示唆
戦争中に、実際にイスラエルに来るだけでも、アメリカが本気でイスラエルの背後にいる、その強力な連携を中東諸国と国際社会に発することとなった。
イスラエルにとっては、非常に力強い支えであった。しかし良いことばかりではない。バイデン大統領は、ハマスと一般のパレスチナ人は違うと強調し、最終的には、二国家共存、言い換えればパレスチナ国家を認めることを目標にする必要があると明言した。
言い換えれば、アメリカは力強い支えではあるが、今の右派政権(ガザは別として西岸地区を併合することを最終目的)とは、目標を意にしているということがはっきりしたということである。
しかし、それはともかくとして、今は、戦火の拡大を抑えなければならない。ネタニヤフ首相は、アメリカの指示を受け入れ、ガザへの人道支援物資搬入を開始する決断をしたようで、バイデン大統領の帰国後の動きが始まっている。
以下は、会談後のバイデン大統領の公式発言からまとめと抜粋。
1)アメリカとイスラエルと共に立つ:痛みとハマスが残忍なテロ組織との認識を共有している
バイデン大統領はまず開口一番に、「ただ一つのメッセージを持ってきた。それは、イスラエルを絶対に一人にしない。アメリカはアメリカが存続する限り、イスラエルを孤立させない。」と語った。
そうして、ハマスに殺害された1300人以上(31人はアメリカ人)がいかに残虐に殺されたかということの深い認識も強調した。ハマスは、SISのような残忍なテロ集団であり、真の悪であると語った。
さらには、ハマスが、ホロコースト以来となるほどに残虐にユダヤ人を殺した日が、ユダヤ人の聖なる日であったことをあげ、数千年にわたる反ユダヤ主義によるユダヤ人虐殺を彷彿とさせるものであった。当時の世界は、それを知っていてなにもしなかったが、2度と同じように傍観するつもりはないと語った。
また家族を失った人々への深い想いを語るとともに、イスラエル人たちが、生き残るために違いに協力し合っていることや、退役軍人が、国のために再び従軍する姿、医療従事者や、ボランティアの遺体処理班などへの理解と感動も語った。
2)アメリカは捕虜を取り戻す、イスラエル人を守ることにコミットしている:イスラエルへの攻撃はしないよう
バイデン大統領は、捕虜を取り戻すことはアメリカ大統領としての最優先であると述べた。
イスラエルはユダヤ人が安心して生きることのできる場所として立ち上がったのだ。75年前にイスラエルが独立した時、アメリカは、その11分後に世界で最初にイスラエルを認めた国だった。
アメリカは、イスラエルが攻撃された瞬間から、連絡を取り合っている。アメリカは、イスラエルの軍事的優位を維持してきたが、今週、前例にない支援策を議会に要請する。イスラエル人の命を守るための迎撃ミサイルの供給も続ける。
イスラエルに対するさらなる侵略を阻止し、この戦争の拡大を阻止するために、空母フォードと、アイゼンハワーを地中海に配備した。イスラエルが、これまで以上に強大であることを示すためだ。イスラエルを攻撃しようとする国やその他の組織にもう一度いう。それはやめるように。
3)イスラエルは怒りに支配されるべきではない:リーダーは厳しい決断をする時である
何が起こったかをみれば、不条理に叫ばずにはいられない。正義はなされなければならない。イスラエルに起こったことは、アメリカの9・11だと言われるが、国のサイズからすると、イスラエルにとってはその15倍の被害であた。
しかし、怒りを感じても、それに飲み込まれてはならないと警告する。9.11のあと、アメリカ人は怒り、そして報復し、正義を貫いた。しかし、そこには失敗もあった。
今回、私は、アメリカ大統領として史上初めて、戦時下にあるイスラエルを訪問する決断を下した。リーダーにとって、決断は難しいもので、常にコストも伴うことを知っている。
だから決断の前には、ごまかしのない現状直視の中で、目的は何か。その方策で、その目的を達成できるのかを、厳しく検証しなければならない。
4)ハマスとパレスチナ人は別:市民への支援は必要:最終的には「二国家解決」(パレスチナ人の国を認めること)が必要
大部分のパレスチナ人はハマスではない。ハマスはパレスチナ人を代表しているのではない。ハマスは、司令塔や武器の周りに一般の市民を置き、地下トンネルを庶民の住宅の下につくっている。庶民を盾にしているのだ。パレスチナ人たちも大きな苦しみを負っているということである。
彼らの命も大事である。世界中とともに、私もがざの病院での大きな損失に怒りと深い悲しみを感じている。確認した情報によると、これはガザのテロ組織の誤爆であったと思われる。
ガザの人々は、食糧、水、医薬品や避難所を必要としている。イスラエルには人道支援に協力するよう要請した。支援物資が、はハマスではなく、確実に民間人に行くことを条件に、イスラエルはエジプトから支援物資の搬入を開始することに合意した。
もしハマスがこれを盗用した場合、明らかに市民の福祉は考えていないということなので、その場で打ち切る。国際社会の支援も全面的に止まることになる。またイスラエルに国際赤十字の訪問も要請した。
アメリカは、ガザと西岸地区のパレスチナ人のために、1億ドルの支援金を用意することを発表する。家を失った100万人のパレスチナ人を支援するものである。
アメリカとイスラエルは、ただ力によってではなく、模範をしめさなければならない。平和を求めるということ。パレスチナ人とイスラエル人が、共に安全に権威を持って平和に生きること。私はそれが、二国家解決だと思っている。
*これについて、ガザの際占領はしないようにと釘をさしたと、ニュースでは伝えられているが、ガザについては、イスラエルは占領する気はまったくないと聞いている。
5)イスラエルは負けない:アメリカは常にイスラエルと共に立つ
テロリストは勝たない。自由が勝利を得る。もう一度言うが、アメリカはイスラエルと共に立つ。
バイデン大統領は、若き議員であったとき、50年前の1973年のヨム・キプール戦争の時に、イスラエルのゴルダ・メイヤー当時首相に会った時のことを話した。メイヤー首相は、「どれほど不可能な状態にあるかわかりますか」と地図を叩きつけたという。
そして、大勢のカメラマンの前にバイデン氏を連れていき、「私たちは心配してないのですよ。私たちイスラエル人には、秘密の武器があるのです。他に行くところがないという武器です」と言った。
だから、何があろうが、イスラエル人は生きるということなのだ。イスラエルは、ゆるぎないユダヤ人で民主主義の国。今日も明日も、そして永遠に。神が平和のために働く者すべてを守ってくださるように。
バイデン大統領帰国で戦争再開:イスラエルはガザへの空爆再開
バイデン大統領が帰国するとまもなく、イスラエル南北でサイレンがなり、ロケット弾が飛来した。特に北部でのヒズボラとの応戦がエスカレートしている。
ガザについても、イスラエルは激しい空爆を再開。ハマス指導者をまた一人殺害したとのニュースもある。ガザ周辺では、まだ侵入してくるハマスがおり、イスラエル軍との戦闘が続いているという。
ガザの市民が悲惨な様相にあり、国政的な問題もあるのか、まだ地上戦に入る様子はない。ガンツ氏は、長引く可能性を指摘している。
www.jpost.com/breaking-news/article-769124
石のひとりごと:イスラエルとともに”闇”を理解するバイデン大統領
バイデン大統が、この戦火の中で、アメリカの大統領として、これほどのスピードでイスラエル訪問を決断したこと。これは全く普通のことではなく、バイデン大統領の政治家としてのベテランぶり、決断、指導力に感動した。
またイスラエルが通ったこのハマスの残虐性を本当に理解している様子。イスラエルの歴史。そこに住む人々のことも深く認識してることにも感動させられた。聖書は引き合いには出してはいないが、考え方の根底にイスラエルとアメリカが共有する、光と闇という価値観がにおってくることにも感動を覚えた。
ちょうど同じ日に中国とロシアが、一帯一路10周年で、関係強化をアピールしたところで、やはり今、世界は、聖書を土台に持つ勢力とそうでない勢力に分かれていく様子がさらに明確になってきているとも感じた。
また、怒りにのみまれず、冷静に目標を定め、方策が本当にその目標に到達に向かうものなのかを見極める必要性を、超ベテランの政治家の貫禄で語り、指導者として決断することの難しさを自らの経験からまず語っている。
その上で、自分は、イスラエルにとって二国家解決法がよいと考えていると持ち出す論法には、感心させられた。確かに、最終的には、国を分けあうしか道はないというのが、論理的ではあるのだろう。*注意・ガザについては、イスラエルに併合の意思はない。
ただイスラエルは、故レビン首相を通してこの道をもう歩いたのであり、その結果が今の残忍なハマスの存在なのである。したがって、これについては、イスラエルがそのまま受けれることは難しいだろう。ということは、いつか、アメリカすら、イスラエルに背を向ける日も来るのだろうか・・
ネタニヤフ首相は、これから、アメリカのこの法則と、国内の右派勢との間で、へびのように知恵を使いながら、国を導いていかなければならない。確かに上からの知恵と、導きがなければ、やっていけないだろう。