ハマス復帰の様相:新兵1万5000人か:停戦合意の継続と戦後ガザ構築における問題 2025.1.25

Members of the Izz ad-Din al-Qassam Brigades, the Hamas terror group's military wing, attend the funeral of two fighters in Gaza City on January 24, 2025. (Omar al-Qattaa/AFP)

ハマス新兵1万5000人徴兵か

ハマスとの戦争が15か月を経過し、今停戦に突入したところだが、人質3人を解放した時のハマスの様子から、ハマスが、予想以上に戦力と支配力を維持しているのではないかと指摘されていた。

ハマスの戦闘員は、2万から2万5000人いたと推測される中、イスラエルは、この15か月の戦闘で、2万人を殺害したと推測している。しかし、アメリカの情報筋は、ハマスが新たに1万から1万5000人の若い戦闘員を徴兵したと見ている。

ガザからの情報によると、ハマスは、テレグラムに170万人のフォロワーを維持しているが、23日(木)イスラエルに協力したとして、ガザ住民6人を処刑する様子を伝えていたとのこと。(未確認情報)

twitter.com/IhabHassane/status/1882518364318515652

www.timesofisrael.com/video-appears-to-show-hamas-executing-several-alleged-collaborators-in-gaza/

アメリカにいる、イスラエルのダノン国連大使は、ガザで急に徴兵されても訓練ができてないので、イスラエルの脅威にはならないとの見方を示している。しかし、ハマス殲滅を目標から降ろしていないネタニヤフ首相にとって、また今後のガザ支配にとって、大きな問題になると懸念される。

www.timesofisrael.com/us-intel-figures-show-hamas-has-recruited-up-to-15000-new-fighters-during-gaza-war/

停戦合意の継続と戦後ガザ構築における問題

今進められている停戦に関する合意は完了形ではない。第一段階で解放される人質は33人だけで、たとえ全員解放されたとしても、まだ65人の人質はガザに残される。今は第一段階の始まりであり、第二段階の交渉はこれから始まっていくのである。

IDF

第二段階に関して最も大きな問題は、イスラエル軍の撤退である。イスラエル軍は、ガザ周囲に緩衝地帯とする幅700メートルの地域と、エジプトとの国境フィラデルフィ回廊、ガザ南北を横断するネツァリム回廊に軍を駐留させる方向で動いている。ハマスはこれに同意していない。

戦後ガザ構築について、ハマスは関与しないことに合意したという情報もあるが、軍事力を再構築する様相にある中、ハマスが関与してくる可能性は否定できない。その可能性もあり、イスラエルは、パレスチナ自治政府がガザ統治に関与することに合意しておらず、国際社会とも一致していない。

まだまだ終わりは見えない・・というのがガザ情勢である。今はともかくも、助けられる人質をできるだけ多く助けるというところだけに焦点を当てるしかない。

www.timesofisrael.com/how-the-ceasefire-hostage-deal-in-gaza-is-set-to-unfold-and-why-its-so-precarious/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。