目次
カタールでの人質交渉:イスラエルからはモサドのバルネア長官
当初4日の休戦予定が2日間延長され、それが明日までになる。その後どうするのかの交渉をするべく、イスラエルからは、モサドのデービッド・バルネア長官が、28日、カタールのドーハを訪問。
アメリカのバーンズCIA長官も加わって、カタール、エジプトとともに、ハマスとの交渉を進めている。
バルネア長官が、カタールを訪問するのは、戦争勃発以来3回目である。
ハマスは最初の4日間で、女性20人(母親10人含む)と、子供30人を解放した。イスラエルの見通しによると、まだ女性兵士5人と83人の女性、子供10人がガザに残されている。バルネア長官は、この人々だけでなく、男性の解放も含めての可能性をさぐるものとみられる。
これまでにイスラエルは、追加の2日間で20人の人質を取り戻すために、パレスチナ囚人50人(女性)の名前を候補者リストの追加するという駆け引きを行っている。
www.timesofisrael.com/mossad-chief-barnea-in-qatar-for-fresh-talks-will-meet-cia-director/
カタールでは、交渉が行われているが、ハマスは、イスラエル兵の帰還も交渉のテーブルに上げているという。帰ってくる?帰らない?どうなる?こうした駆け引きは、イスラエルにいる家族には心理的な拷問のようになっている。
特に注目されているのは以下のケース。
ハマスのイスラエルへの心理作戦の一例
1)人質最年少クファルちゃん家族はイスラム聖戦へ引き渡し
まだガザに残されている子供の中には、最年少のクフィルちゃん(生後9ヶ月で拉致されガザで10ヶ月になった)がいる。クフィルちゃんは、その両親、ビバス・ヤルダンさん(34)とシリさん(32)、兄弟アリエル君(4)とともに、キブツ・ニール・オズから拉致された。
イスラエル軍は、27日、ビバスさん一家が、ハマスから別のテロ組織(イスラム聖戦?)の配下に移されて、カンユニスのどこかにいると発表した。となると、この一家が、今進められているイスラエルとハマスの交渉の範囲では、解放されない可能性が懸念される。
とはいえ、これまでに解放された人の中には、イスラム聖戦に捉えられていて解放された人もおり、そうともかぎらない。バビス一家が家族一緒にいるとみられる点は、良い子度ではあるが、このどうにもわからないという状況は、家族への心理には大きな負担になっている。
2)ガザ内部で戦死イスラエル兵3人の遺体を返さず
ハマスは、10月7日の侵入時の戦闘で死亡したイスラエル兵3人の遺体を持ち帰ったとみられている。3人は、通信兵だったトメル・ヤコブ・アヒマス軍曹(20)、キリル・ブロドス軍曹(19)、シェイク・ダハン兵士(19)
ダハンさんの母親シガット・ガルさんは、息子の遺体が戻るまで、ユダヤ教のシヴァ(7日間の服喪)には入らないと言っている。
www.timesofisrael.com/bodies-of-three-soldiers-killed-on-october-7-taken-by-hamas-to-gaza-idf-says/
人質交渉に強力に警告するハマスの息子
ハマスの息子として知られるモサブ・ハッサン・ヨーセフ氏は28日、Xに、イスラエルが行っているハマスとの交渉について、今後イスラエルはどうするべきなのかを、強力に語ったクリップをアップした。
After the successful release of the most vulnerable group of hostages, Israel must give Hamas a timeframe to release the remaining hostages. If they fail Israel must execute Hamas mass murderers in Israeli prisons. No exception, Sheik Hassan Yousef is included. pic.twitter.com/xpeVKHuLX4
— Mosab Hassan Yousef (@MosabHasanYOSEF) November 28, 2023
1)人質交渉で妥協せず、ハマス指導者はすべて殺すべき
ヨーセフ氏は、「ハマスは人類に対する心理戦を繰り広げている。人質を引き換えに、大量殺人の犯人を数千人を世に送り出させようとしている。これはイスラエルにとっても、世界にとっても受け入れられるものではない。」と指摘。
ハマスはこれから、人質を返すとして、イスラエルとの戦闘を無期限に回避しようとするだろうとし、イスラエルは、その手に乗ってはならない。イスラエルは、妥協するべきでない。
ハマスの虐殺は罰せられるべきである。ハマスの指導者は、すべて、自分の父であるシーク・ハッサン・ユーセフも例外でないと強調した。ユーセフ氏は、この10-15年の間、何度か父の命を助けたことを後悔していると述べた。そのことで、何一つ変わらなかっただけでなく、今の事態になったのだと強調した。
2)イスラエル刑務所にいるハマス指導者をカードに使え
人質を取り返すことについて、ユーセフ氏は、ハマスの最高指導者は、ガザやカタールにいるのではなく、イスラエルの刑務所にいると指摘。イスラエルは、この人物をカードにして、人質を全部取り戻せるはずだと指摘した。
3)カタールを仲介に入れるべきでない
交渉の仲介にカタールを入れるべきでない。カタールがハマスを保護する国であり、そこにハマスの拠点があるからである。
カタールには、1ヶ月の猶予を与え、その間にハマス指導者を追放させるように言うべきだ。もしそれを受け入れないなら、イスラエルは、カタール国内で、ハマス指導者を暗殺する権利がある。
4)ガザでの攻撃はこれまで以上にハマス幹部に焦点をあてるべき
ガザでの戦闘については、これまで以上に、大規模攻撃を控え、ハマスとハマス指導者に集中すべきである。それについては、時間制限に縛られることはない。もしイスラエルが停戦に応じる場合は、ハマス指導者の動きには目を離さず、もし攻撃してきたら確実に反撃せよ。
最後の部分は、イスラエルがこれまでやってきたことなので、その状態にイスラエルが戻るかどうかは不明である。ユーセフ氏は、やはりガザ市民のことも心配しているのだろう。
ハマスのガザ市民への拷問
ハマスが苦しめているのは、ガザ市民もである。ガザでは、北部から100万人近くが南部へ避難したため、ガザ地区230万人のうちの80%近くが南部に集中している。
難民を受け入れる国はなく、国際社会はこの難民たちを、ガザの中で支援しようとしている。現在、国連は、人道支援区域にアル・マワシを指定しており、イスラエルもそこについては、攻撃はしないとし、そこに行くようにと指示している。
国連がテントを貼り、大勢が避難生活しているが、雨も降って悲惨な様相が続く。人道支援物資は、毎日トラック200台が入
っているが、今の所衣類はなく、人々は寒さにも苦しんでいる。
国連は、伝染病の蔓延を懸念して、市民へのワクチン接種を検討しいるとのこと。今後、イスラエルが戦闘を再開させた場合、南部にいるガザ市民をこの国連地域へ行くように指示するとみられるが、もはや無理がありそうである。
石のひとりごと:世界に警察がいない
こうしてみると、ハマスはなんと世界中に迷惑をかけている大犯罪者である。国際社会は、まずはこのハマスをさっさととりしまり、逮捕すればよいのであるが、それをしないでイスラエルを非難するという、なんとも不思議な動きになっている。
ユーセフ氏が言うように、確かにこの大犯罪者であるハマスを最大に支援するカタールの仲介にたよるというのも、おかしな話である。
またハマスとイスラエルの戦闘の背後で、ロシアのウクライナへの攻撃が激化し、プーチン大統領がロシアに都合のよい形で停戦を匂わせているとのこと。欧米のウクライナ支援疲れでウクライナが厳しい寒さの中、苦しくなりはじめている。これもまた不条理な話である。
要は、国際社会においては、国連の機能不全で、世界的な警察が不在となっており、正義がどこにあるのかが、わからなくなっているのだろう。
私たちは今、人質の無事奪回とともに、ハマスが、1日でも早く、完全に消え去るようにと祈るときである。これは、また霊的な悪との戦いでもある。