ハマスが人質10人解放の可能性か:人質エダンさんのプロパガンダビデオの後 2025.4.14

Iris Schwartz (foreground) and other relatives of Edan Alexander, who is held hostage by Hamas in Gaza, address protesters outside the Jerusalem home of Strategic Affairs Minister Ron Dermer, head of Israel's negotiating team, demanding the government secure the release from Hamas captivity of all hostages, April 13, 2025. (Yair Palti, Pro-Democracy Protest Movement)

ハマスが人質10人解放に向けて検討か

ハマスは、この週末、アメリカとイスラエルの二重国籍の人質、エダン・アレクサンダーさん(20)のプロパガンダを家族に送りつけてきた。

救出されない苦しみと怒りを訴えており、人々の心に突き刺さるものだった。

April 13, 2025. (Yair Palti, Pro-Democracy Protest Movement)

イスラエルでは、人質解放を要求する市民の声が高まっており、エダンさんのクリップが送られてきた翌日の13日(日)、エルサレムでは、交渉に関わっているダーマー戦略大臣の家の周辺でのデモが発生した。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/hundreds-protest-in-favor-of-hostage-deal-near-dermers-home-these-could-be-their-last-moments/

その後、イスラエル政府が、何らかの動きをしたのか、現在、ハマスが、エダンさんを含む10人の人質を解放する方向で検討しているというニュースが入っている。ネタニヤフ首相が家族にもそう伝えたとのこと。

イスラエルの交渉団は、現在、エジプトのカイロにおり、ハマスの幹部ハリル・アル・ハイヤが率いる交渉団もカイロに入ったとのこと。

アメリカのウィトコフ特使は、先月、ハマスに、生存する人質、10―11人をまず釈放すると同時に停戦に入り、過越が終19日に、残りの人質を全員釈放するという案を提示していた。ハマスがこれに応じなかったため、その後、イスラエルは激しい攻撃が再開している。
これまでにガザ南部に新たなモラグ回廊(14キロ)が設置され、ラファは、イスラエルが管理するエリアになりかかっている。その周辺の緩和地帯の面積も拡大している。ガザは南北が断絶された形である。

イスラエルの本気の攻撃を受けて、ハマスがなんらかの妥協の様子を見せているのかもしれないとの憶測が広がっている。

www.ynetnews.com/article/hkbabzc0ke#autoplay

なぜ僕はまだここにいる!?人質エダンさんの政府への怒り

ハマスはこの週末、新たなプロパガンダビデオを発信してきた。写っていたのは、アメリカとイスラエルの2重国籍のエダン・アレクサンダーさん(20)である。

エダンさんは、家族はまだアメリカにいる中、単独でイスラエルに移住。イスラエル軍に従軍していた、いわゆる「ローン・ソルジャー」である。

10月7日は、アメリカかから母親がイスラエルに来ていたため、軍は休暇を許可していた。しかし、エデンさんは、自分がいないと一人になってしまう同僚を思い、被災した駐屯地に残っていて、ハマスに拉致されていた。

今回、家族が許可したとのことで、ハマスが送りつけてきたクリップが、公に公表された。

エダンさんは、暗闇で非常に苦しい様子で、もうここで551日になると述べ、「なぜまだ僕はここにいる!?」と何度も、何度も叫び、人質を見捨てたネタニヤフ首相とその政府への激しい怒りをぶつけていた。自分はイスラエルのために戦っていたのに、見捨てるのかと怒っている。

www.ynetnews.com/article/r1pjppoaye

またトランプ大統領に対しても、なぜ救出してくれないのかと怒りをぶつけていた。アメリカにはテロ組織との交渉はしないという原則があるが、トランプ大統領は水面化で、エデンさんの解放に向けて水面化の交渉をしていると言われた時期もあったのである。

www.timesofisrael.com/hamas-releases-propaganda-video-showing-us-israeli-hostage-edan-alexander/

この様子にエデンさんの母親はどう感じているかとその痛みの深さを思わされる。特に家族が集まる過越の時なので、愛する家族がいないだけでなく、苦しんでいることを知らされることがどれほどの拷問であることか。今年はその2回目の過越である。

過越の初日のセデルの日、人質家族たちは、テルアビブの人質広場で一緒に過ごしていた。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。