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ハマスが今週末生存人質6人を解放すると発表
カイロで仲介国を介して、ハマスとイスラエルの交渉が続いている。ハマスは当初、明日2月20日(木)に、死亡している人質の遺体4体、22日(土)に生存している人質3人を解放すると言っていた。
しかし、その後、予定通り6人にすることで合意した。これにより、第一段階で解放される人質33人のうち、生存者はすべて帰国することになる。
また、遺体についても、20日(木)4体を返還し、来週中に残りの4体も返還する。遺体はDNA鑑定などから、だれかを特定し、家族に伝えることになるとのこと。
この交渉の背景には、パレスチナ囚人の解放に加えて、ガザ内部の瓦礫撤去に使われる重機が入ることを、イスラエルが認めたことが考えられる。
重機の搬入は、イスラエルが阻止していたが、明日からガザへの搬入が開始される。人の命がかかっている事ながら、交渉で話が進められている。
www.timesofisrael.com/heavy-construction-equipment-said-to-begin-rolling-into-gaza/
戻ってくる人質は以下の6人。2人は10年以上も前からガザに入ったままになっていた人たちである。
タル・ハショムさん(39)
オーストラリアとの二重国籍、シムハット・トーラーで、キブツ・べエリの妻の家族を訪問していて、拉致されていた。この時、妻のアディさん、娘(3)、息子(8)、義母、妻の叔母とその娘も拉致されたが、2023年11月の解放の際に、全員無事帰国している。
しかし、妻の父アブシャロムさんと、妻の叔父、叔母は、ハマスに殺害されていた。一家は、家に隠れていたのだが、ハマスが家に火を放ったので、外へ出なければならず、こういう結果になったとのこと。
エリヤ・コーヘンさん(27)
エリヤさんは、婚約者んのジブさんと、ノバ音楽フェスに参加していて、ハマスの銃撃を受けた。2人は、遺体の山の中に隠れたが、エリヤさんは、ハマスに引っ張り出されていったという。エリヤさんは、足に負傷している。
オメル・ウエンカートさん(23)
オメルさんもノバ音楽フェスティバルに参加していて拉致された。オメルさんは、朝の時点で、両親に「死ぬほど怖い」と連絡していたという。その後、両親は、オメルさんが、下着姿で車に縛り付けられている映像を見ることになった。オメルさんは、慢性大腸炎の既往があり、時々発作を起こす病を抱えている。
オメル・シェム・トーブさん(22)
オメル・シェム・トーブさんも、ノバ音楽フェスで拉致された。こちらも朝10時の時点で両親に連絡をとっていた。
www.timesofisrael.com/these-are-the-six-living-hostages-set-to-be-released-saturday/
アヴェラ・メンギストさん(37)2014年以来の帰還
アヴェラさんは、エチオピア系イスラエル人で精神疾患を患っていた。2019年9月、当時27歳の時に、みずからガザ北部に入りこみ、そのままになっていた。両親は政府に奪回を訴えたが、そのままになっていた。
ヒシャム・アル・サイードさん(37)2015年以来の帰還
ヒシャムさんは、ベドウィンで、当時28歳の時に、エレツ検問所近くからガザに入り、そのままになっていた。ヒシャムさんも、精神疾患を患っていた。
20日(木)返還の遺体:3人はビバスさん母子とハマス
ハマスは、以前から、シリ・ビバスさんとその子供のアリエルさんとクフィルさんが死亡していると言っていた。イスラエルでは確認できないとして、まだ希望を持っていた。
しかし、ハマスは、明日20日(木)に返還する遺体4人のうち、3人は、シリさんとその息子2人だと言っている。
確かに、今回解放される予定の6人の中に、シリさんたちが含まれていなかったことから、3人の生存への希望がさらに薄れることとなった。
なお、上記の解放が完了すると、ガザに残っている人質は、59人となる。このうち生きているのは24人で35人は死亡しているとみられている。この人々の解放は、第二段階でのことになる。
第二段階に関する交渉は、イスラエルが延期させたままであるが、2月17日に安全保障閣議が行われ、今週中にも交渉を開始するとサル外相が発表している。
石のひとりごと:心理的拷問ということ
人質とその返還について、イスラエル人たちが直面している状況は、まさに心理的な拷問だと思う。
今回、生存者として解放される6人が誰かは明らかになったが、遺体の8人は名前はあげられていない。
しかし、33人のリストからして、この6人でなかった残りの8人は、おそらく死亡しているということになる。
まだガザに残されることになる59人については、24人が生きていて、35人は死んでいるという。だれがどちらかはわからない。生きて帰ってくるかもしれない。遺体になっていたと告げられるかもしれない。それがいつになるかもわからない。
また、ビバスさんは、父親だけ助かって、妻と可愛い子供2人は死んでいる。もう一人の人質も、同じ状況を解放時に告げられた。
一方で、解放される人質がおり、家族が再び再会する人もいれば、自分の妻と子は全員殺されていたことを発見する人もいる。
普通に見える人もいれば、ガリガリに痩せこけている人もいて、ガザで一体どうなっているのか想像もできない。人と比べる傾向にある、日本人なら、絶対に耐えられないだろう。
喜びとと慟哭と怒りと、まさに心理的な拷問である。こうした状況に、家族だけでなく、イスラエルの国民全部が、自分のことのように感じている。
イスラエル人が、これほどに非人道的な目に遭っていることについて、世界はまったく無関心だということが、まったく理解できない。
ハマスは、人道主義者が支援しようとする、政治的な意味でのパレスチナ解放組織ではなく、テロ組織であり、まったく悪質な真の犯罪者である。