大変な虐殺の影響は大きい。事件翌日から、現場には、たくさんの花が捧げられている。
オーストラリアのアルバネーゼ首相も、事件翌日の15日(月)に現場を訪問。この日は全国で半旗とした。「オーストラリアは、分断、暴力、憎悪は受け入れない。共にこの件も乗り越える」と語った。
死者のうち、現時点で身元が明らかになった人は7人。1人は、10歳の少女マチルダさん。
また、ホロコーストサバイバーで、ウクライナ出身のアレックス・クレイとマンさん。銃撃時、一緒にいた妻のラリサさんを自分の体で守って死亡していた。
もう一人は、昨年、仕事で、フランスからシドニーに移住していたダン・エルヤカムさん(27)。旧ソ連出身のルーベン・モリソンさん(62)。成功したビジネスマンで、ハバッド派の慈善事業に、たくさん献金していた人だった。
ティフォール・ヴァイツェンさん(78)は、家族の友人を守ろうとして死亡した。シナゴーグでは、子供たちにお菓子を配るおじいちゃん的存在だったとのこと。
定年退職した元警察官のピーター・ミーガーさん。マリカ・ポガニーさん(82)は、孫のいる祖母で、20年以上、コシェルの食事12000食を作って配達してきたことで、ユダヤ人コミュニティから表彰を受けていた人だった。
ハバッド派のラビも2人死亡した。1人は、シドニーで18年間、ラビとして仕えたラビ・エリ・シュランガー(40)。遺族は妻と5人の子供たちである。
Rabbi Eli Schlanger, who was murdered in the terrorist attack in Sydney during Hanukkah, leaves behind a wife and four children. pic.twitter.com/4BKcs6xttT
— Visegrád 24 (@visegrad24) December 14, 2025
もう一人は、ラビ・ヤコブ・ハレヴィ・レヴィタン。その他、犠牲者の多くは、シナゴーグの教会員だったとみられている。
今回、襲撃を受けた、シドニーのハバッド派シナゴーグの総責任者、ラビ・イェホラム・ウルマンは、殺害されたラビ・エリ・シュリンガーの義理の父親だった。
事件翌朝の礼拝で、ラビ・ウルマンは、「テロリストは、我々を亡き者にしようとする。しかし、そうはならない。私たちは変わらない。同じようにする」と語っている。
しかし、神の奇跡を思うハヌカの初日にこのような大虐殺で、しかも神に忠実だったラビたちが殺されたのである。
ラビ・ウルマンは、「本当にわからない。しかし、選択の余地はない。「真の裁き主に祝福を」と言うのだ」と目の涙を抑えながら語り、残された信者たちに一致を呼びかけた。
Incredibly moving
Rabbi Yehoram Ulman – Head of the Sydney Beth Din and Chabad Bondi -the community which was attacked speaks at Shacharit morning prayers, the day after the massacre.
Rabbi Ulman's son-in-law Rabbi Eli Schlanger and many of his congregants were killed. pic.twitter.com/LpnY6Vhi1t
— Australian Jewish Association (@AustralianJA) December 14, 2025
<石のひとりごと>
亡くなった方々の人生を思うと、失われたそれぞれの世界を思わされる。
それにしても、ハヌカの第一日目である。まさにクリスマスや復活祭の祝いをしている時に、愛する家族や、教会の牧師やスタッフが殺されたらどうだろうか。主への疑いを持つ人もいるかもしれない。
ラビ・ウルマンは、それでも裁き主である主に信頼すること、信仰を失わないで共に一致しようと呼びかけている。ユダヤ人の信仰からは、学ぶところが多すぎると思う。
日本にもハバッド派はいる。ハヌカを祝っている。オーストラリアのハバッド派とも関連は深いと思われ、ショックは大きいだろう。
オーストラリアだけでなく、全世界のハバッド派やその他のユダヤ人シナゴーグの人々、コシェルレストランなどが守られるように祈りが必要である。
