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ハダル・ゴールディン中尉の遺体が11年目についに帰国
11月9日(日)夜、2014年のガザでの戦争の際に殺害され、それから11年もの間、遺体がガザへ拉致されたままになっていたハダール・ゴールディン中尉(当時23)の遺体が返還された。
この11年の間、両親とその家族、サポーターたちは、決して諦めることなく、ずっと、政府に遺体を取り戻すよう、求める運動を続けてきたのであった。
イスラエルでは、まずハマスは、ハダルさんとみられる遺体を返還すると表明。続いて11月9日午後8時に返還すると表明したが、その度にイスラエルのメディアが報道し、いかに国民的関心事であったかを表していた。以下は、ハマスが、洞穴からハダルさんの遺体を掘り出す様子。
ハダルさんとみられる遺体は、午後8時に赤十字を通じて引き渡され、まもなくハダルさんであることが確認された。実に11年の歳月を経て、ハダルさんは、両親の元、祖国に帰り着いたことになる。
ハダルさんの遺体は、現在、イスラエル軍駐留地になっているラファの地下トンネルから運び出されていた。この地域は、イスラエル軍も遺体捜索を行っていたが、ハダルさんを発見できていなかった。
*ハダル・ゴールディン中尉の拉致の経過(IDF)
www.idf.il/en/mini-sites/wars-and-operations/operation-protective-edge/operation-protective-edge/
イスラエルは2014年6月、西岸地区から3人のティーンエイジャーが、ハマスに拉致され、殺害されたことから、イスラエル軍が大規模に西岸地区に捜索に入り戦闘になった。
すると、ガザのハマスは、イスラエルにロケット弾250発を発射し、イスラエル人に負傷者も出た。このため、7月7日から、イスラエル軍はガザへの空爆。続いて17日からは地上軍も入って、ロケット発射地などを破壊した。この間、イスラエルに発射されたロケット弾は3000発とも言われている。
この時、イスラエル軍の戦車が対戦車砲の攻撃を受け、イスラエル兵6人が死亡。このうちの1人、オロン・サウル兵士の遺体が拉致された。オロン兵士の遺体は、やはり11年経った今年1月に返還されている。
この戦争では、イスラエルとハマスの間で、停戦が5回も宣言されたが、毎回ハマスが違反。8月1日に5回目の停戦となった数時間後、ハマスは、ラファの地下トンネルから
出てきて、イスラエル兵3人を引き摺り込み、2人を殺害。1人を拉致した。それが、ゴールティン中尉である。
ゴールディン中尉は、その後、イスラエル軍によって死亡しているとの確認がとれたことから、家族に連絡
され、遺体がないまま、葬儀も行われていた。ハダルさんは、殺害される数ヶ月前に、フィアンセのエドナさんと結婚の約束をして、その準備もはじめていたという。
その後72時間後の8月5日の停戦もハマスが違反。最終的に、停戦になったのは、戦争開始から50日目の8月21日だった。この戦争で戦死した兵士は68人。イスラエルへ発射されたロケット弾は、4500発以上。イスラエル軍が、破壊したトンネルは32本で、このうち14本は、イスラエル領内に到達していたとのこと。
しかし、この戦争で死亡したパレスチナ人は2000人以上、10万人がガザ内難民になったことから、国際社会は、ハマスではなく、イスラエルを激しく非難した。
www.timesofisrael.com/hamas-said-to-recover-body-of-hadar-goldin-killed-and-abducted-in-2014-war/
地下トンネルに立ち往生のハマス200人と交換!?:トルコが介入を表明
Times of Israelによると、ハダルさんの遺体がイスラエルに引き渡された後、トルコが、これに貢献したことを自ら表明した。
また、パレスチナ側情報筋が、イスラエルのテレビ局カンに伝えたところによると、トルコが、イスラエル軍支配領域地下で立ち往生になっているハマスメンバー約200人の救出にも取り組んでいるとのこと。
そういえば、この200人に対する最後通告の時間はもうすぎているが、その後の情報は出ていない。トルコが、ハダルさんの帰国と、ハマスとイスラエルの間で交渉を進めた可能性がある。
トルコは、今、アメリカとともに、あと残っている4人の遺体を引き渡すよう、ハマスと交渉中とのこと。
なお、イスラエルは、ガザの戦後に、ハマス支援者であるトルコが関わることは、受け入れていない。
